地方上級 / 数的推理 / zs-12
方程式と不等式の文章題
この単元でできるようになること
- 文章の中から「等しい量」を見つけて、未知数 1 つ・2 つの方程式を立てられる
- 過不足算・年齢算・平均算・売買損益を、それぞれの決まった置き方で式にできる
- 「合計が〜以下」「〜以上になるのは何個から」を不等式にして、整数の範囲で答えられる
- 式が 1 本しかない問題(不定方程式)を、整数の条件と倍数の性質で解ける
- 答えを出したあと、文章に戻して検算する習慣で、置き方の間違いに気づける
試験での位置づけ
方程式と不等式の文章題は、数的推理の中心です。地方上級・国家一般職とも、速さ(zs-14)・仕事算(zs-15)・割合(zs-13)はすべて「方程式を立てて解く」形をとるので、この単元の考え方はそれらの土台になります。単独では、過不足算・年齢算・売買損益・不定方程式が出題されやすい形です。計算そのものは中学数学の範囲ですが、何を文字で置くか、どの量が等しいかを短時間で見抜くことが問われます。
1. 方程式を立てる型 ── 「等しい量」を探す
まずここだけ
文章題の式は、いつも「同じ量を 2 通りに表して = で結ぶ」形です。手順は 3 つ。
- 問われている量、またはいちばん多く登場する量を x と置く
- 文章中の「等しい」「合わせて」「同じになった」「余る・足りない」を探し、その量を x で 2 通りに書く
- 解いたら、文章に戻して検算する
りんご 1 個 120 円とみかん 1 個 80 円を合わせて 15 個買い、代金は 1,480 円だった。りんごは何個か。 りんご x 個、みかん (15 − x) 個。代金:120x + 80(15 − x) = 1,480 → 40x = 280 → x = 7 個 検算:120 × 7 + 80 × 8 = 840 + 640 = 1,480 ✓
この形(合計個数と合計金額が分かっている)はつるかめ算と呼ばれ、「全部りんごなら 1,800 円。実際は 320 円少ない。1 個をみかんに替えるごとに 40 円減るので 320 ÷ 40 = 8 個がみかん」と方程式なしでも解けます。
ここまでできれば十分
未知数が 2 つなら連立方程式ですが、「合わせて〜個」のような条件があれば未知数 1 つで済むことが多いです。未知数は少ないほど速いので、片方をもう片方で表せないかを先に考えます。
平均算:平均 × 人数 = 合計、を使います。
クラス 40 人の平均点が 62 点。男子 20 人の平均が 58 点のとき、女子 20 人の平均は。 全体の合計 40 × 62 = 2,480。男子の合計 20 × 58 = 1,160。女子の合計 1,320 ÷ 20 = 66 点(男女同数なので、女子は男子より全体との差の 2 倍 = 8 点高い、と考えても出る)
平均の問題では「平均を足して 2 で割る」のは誤りで、合計に戻してから計算します。
2. 過不足算・年齢算
まずここだけ
過不足算:「1 人に a 個ずつ配ると p 個余り、b 個ずつ配ると q 個足りない」型は、物の総数が等しいことで式を立てます。人数を x とすると、
ax + p = bx − q
1 人に 5 個ずつ配ると 12 個余り、7 個ずつ配ると 6 個足りない。人数と個数は。 5x + 12 = 7x − 6 → 2x = 18 → x = 9 人、個数は 5 × 9 + 12 = 57 個
「余り → 足りない」に変わるとき、差 (p + q) を 1 人あたりの差 (b − a) で割る、と覚えれば暗算でも出ます(18 ÷ 2 = 9)。
年齢算:年齢の差は変わらないことを使います。
現在、父 42 歳、子 12 歳。父の年齢が子の 3 倍だったのは何年前か。 x 年前:42 − x = 3(12 − x) → 42 − x = 36 − 3x → 2x = −6 → x = −3。3 年後(「何年前」と聞かれても、負になれば「後」の意味になる) 差で考える:差 30 歳は不変。3 倍のとき子は 30 ÷ 2 = 15 歳 → 3 年後 ✓
ここまでできれば十分
過不足算には、「長いすに 4 人ずつ座ると 5 人座れず、5 人ずつ座ると最後のいすには 2 人だけ座り、いすが 1 脚余る」のようないす型があります。このときは「5 人ずつのとき、全部のいすに 5 人座るとした場合と比べて何人足りないか」に直します(最後のいすに 2 人 → 3 人足りない、余ったいす 1 脚 → 5 人足りない、合計 8 人足りない)。いす x 脚で 4x + 5 = 5x − 8 → x = 13 脚、人数 57 人。
3. 売買損益 ── 原価・定価・売価の順に式を書く
まずここだけ
売買の問題は、原価 → 定価 → 売価 → 利益 の順に、それぞれを式で書きます。
- 定価 = 原価 × (1 + 利益率)
- 売価 = 定価 × (1 − 割引率)
- 利益 = 売価 − 原価
原価 x 円の品に 3 割の利益を見込んで定価をつけ、定価の 2 割引きで売ったら利益は 80 円だった。原価は。 売価 = 1.3x × 0.8 = 1.04x。利益 1.04x − x = 0.04x = 80 → x = 2,000 円
「3 割の利益を見込んで 2 割引きしたら利益は 1 割」とはなりません(1.3 × 0.8 = 1.04 で利益 4%)。割合は掛け算でつなぐことを、割合(zs-13)の単元と合わせて確認してください。
ここまでできれば十分
個数が混ざる問題(定価で a 個売り、残りを割引きで売って利益が全部で〜円)は、「原価 x」「個数」「1 個あたりの利益」の表を作ってから、利益の合計で式を立てます。
原価 500 円の品を 100 個仕入れ、定価 700 円で 60 個売った。残り 40 個を定価の何割引きで売れば、全体の利益がちょうど 14,400 円になるか。 定価分の利益 200 × 60 = 12,000 円。残り 40 個で 2,400 円の利益が必要なので 1 個あたり 60 円 → 売価 560 円。700 円の 2 割引き(560 ÷ 700 = 0.8)
4. 不等式 ── 「〜以上・〜以下・〜を超える」を正しく置く
まずここだけ
不等式の文章題は、方程式と立て方は同じで、= が ≦ や < に変わるだけです。言葉と記号の対応を間違えないようにします。
| 言葉 | 記号 |
|---|---|
| a 以上 | ≧ a(a を含む) |
| a 以下 | ≦ a(a を含む) |
| a を超える | > a(a を含まない) |
| a 未満 | < a(a を含まない) |
1 個 150 円の品を、200 円の箱に入れて買う。代金を 2,000 円以下にするには、最大何個買えるか。 150x + 200 ≦ 2,000 → x ≦ 12 → 12 個
会員になると入会金 3,000 円がかかり、1 回 800 円で利用できる。会員にならないと 1 回 1,300 円。何回以上利用すると会員の方が安くなるか。 3,000 + 800x < 1,300x → 500x > 3,000 → x > 6 → 7 回以上(6 回では同額なので「安くなる」には入らない)
ここまでできれば十分
答えは整数で聞かれることがほとんどです。不等式を解いた結果が x > 6 なら「7 回以上」、x ≧ 6.4 なら「7 個以上」、x ≦ 12.8 なら「12 個まで」と、端が含まれるかどうかを確かめてから整数にします。
両側から挟む問題(〜以上〜以下の範囲で整数はいくつあるか)は、2 本の不等式を別々に解いて範囲の共通部分をとります。
5. 不定方程式 ── 式が足りないときは整数の条件で絞る
まずここだけ
未知数が 2 つで式が 1 本しかないとき(不定方程式)は、答えが正の整数であることを使って候補を絞ります。
1 本 70 円の鉛筆と 1 本 110 円のボールペンを合わせて 1,000 円ちょうど買った。それぞれ何本か。 70x + 110y = 1,000 → 両辺を 10 で割って 7x + 11y = 100 11y = 100 − 7x → 右辺が 11 の倍数になる x を探す。x = 1 のとき 93、x = 2 のとき 86、… x = 8 のとき 44 = 11 × 4 → (x, y) = (8, 4) 次の解は x を 11 増やし y を 7 減らす(x = 19、y = −3)ので、正の整数解はこの 1 組だけ
コツは、係数の大きい方の未知数について解いて、倍数の条件で x を絞ることです。また、ある解が見つかったら、次の解は「x を(y の係数)だけ動かし、y を(x の係数)だけ逆に動かす」で出せます。
ここまでできれば十分
未知数が 3 つで式が 2 本のときも同じです。1 つの文字を消して 2 元の不定方程式にし、正の整数の条件(ときには「それぞれ 1 個以上」)で絞ります。
80 円・120 円・150 円の 3 種類の品を合わせて 20 個、代金 2,200 円で買った。どの種類も 1 個以上買うとき、150 円の品は何個か。 x + y + z = 20、80x + 120y + 150z = 2,200 → 8x + 12y + 15z = 220。x = 20 − y − z を代入して 4y + 7z = 60。z は 4 の倍数で、7z < 60 より z = 4(y = 8、x = 8)または z = 8(y = 1、x = 11)。 「どれも 1 個以上」だけでは 2 通りある。問題文に追加の条件(たとえば「120 円の品が最も多い」)があれば 1 通りに決まる。条件を全部使い切ったかを確認する
もう一歩(発展)
不定方程式で「解が何組あるか」を問われたら、1 組見つけてから「x を b ずつ、y を a ずつ逆向きに動かす」で、正の範囲に入る組を数えます。
7x + 11y = 300 の正の整数解は何組か。 11y = 300 − 7x の右辺が 11 の倍数になる x を、x = 1 から順に確かめる。x = 1 → 293、x = 2 → 286 = 11 × 26 ✓。最初の解は (x, y) = (2, 26)。 以後は x を 11 増やし y を 7 減らす:(13, 19)、(24, 12)、(35, 5)、次の (46, −2) は不可。よって 4 組
暗算で 1 組目を当てようとすると間違えやすいので、x を 1 から順に試すのが結局いちばん確実です。300 を 11 で割った余り(3)と 7x を 11 で割った余りが等しくなる x を探す、と考えても同じです。
6. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 「A は B より 5 多い」を A + 5 = B と書く | A = B + 5。「より」の前が大きい |
| 平均どうしを足して 2 で割る | 合計 = 平均 × 人数 に戻してから計算する |
| 3 割増しの 2 割引きを 1 割増しと考える | 1.3 × 0.8 = 1.04(4% の利益) |
| 「6 回で同額」なのに「6 回以上で安くなる」と答える | 「安くなる」は < なので 7 回以上 |
| 不定方程式で 1 組見つけて終わりにする | 正の範囲にほかの解がないかを、係数分ずらして確かめる |
| 年齢算で「x 年前」の答えが負になり、あわてる | 負なら「x 年後」。年齢差は不変、で検算する |
7. 解き方の型
- 問われている量か、いちばん多く登場する量を x と置く。未知数は少ないほどよい
- 「等しい量」「合計」「余り・不足」「差は不変(年齢)」を探して、2 通りに書いて = で結ぶ
- 不等式は言葉と記号(以上・以下・超える・未満)の対応を確かめ、解いたあとに整数にする
- 式が足りなければ不定方程式。係数の大きい未知数について解き、倍数条件で 1 組見つけ、係数分ずらして全部の解を出す
- 答えを文章に戻して検算する(個数が負・小数になったら置き方を疑う)
8. 小テストへ
→ 小テスト(zs-12)
関連する単元
- 前提:m1-09 一次方程式の利用(文章題・比例式)、m2-05 連立方程式の利用(中学数学)、zs-11 整数の性質(不定方程式の倍数条件)
- 次に進む:zs-13 割合・比・濃度、zs-14 速さ、zs-15 仕事算・ニュートン算
- 同じ考え方を使う:zs-21 覆面算・虫食い算・記数法の応用(整数の条件で絞る)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 中学校数学の教科書(一次方程式・連立方程式・不等式の利用)、高等学校「数学 A」教科書(不定方程式)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-12/ / 更新 2026-09-14