地方上級 / 社会学 / zy-03

更新 2026-09-19

社会集団・家族・組織(テンニース・クーリー・マッキーヴァー・家族の類型・官僚制)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

国家一般職・地方上級の社会学では、「集団の類型」「家族」「組織・官僚制」の 3 テーマがそれぞれ独立して 1 問出ることがあり、まとめて 1 問に組み込まれることもあります。集団の類型は「誰の区分か」と「基準は何か」を入れかえた肢、家族は「マードックの 4 機能とパーソンズの 2 機能を混ぜた肢」、官僚制は「ウェーバーが逆機能を指摘した」というすり替えが定番の誤答です。ウェーバーの官僚制論は行政学の zq-02、ホーソン実験・バーナード・サイモンは行政学の zq-01・経営学の zo-01 と重なるので、あわせて確認してください。


1. 社会集団の類型 ── 6 人の 2 分法

まずここだけ

社会学では、集団を「親密で全人格的な結びつき」と「目的のための部分的な結びつき」の 2 つに分ける考え方が繰り返し登場します。提唱者ごとに名前と基準が違うので、表で一気に覚えます。

提唱者伝統的・親密な側近代的・目的的な側区分の基準
テンニースゲマインシャフト(共同社会)ゲゼルシャフト(利益社会)本質意志か選択意志か
クーリー第一次集団(第二次集団 ── 後の研究者の命名)対面的で親密な接触か
マッキーヴァーコミュニティアソシエーション地域的な共同生活か、特定の目的か
サムナー内集団(われわれ集団)外集団(かれら集団)帰属意識の内か外か
高田保馬基礎社会派生社会血縁・地縁か、類似・利益か
ギディングス生成社会組成社会自然に生まれたか、目的のため作られたか

ここまでできれば十分

クーリーは『社会組織論』(1909 年)で、家族・遊び仲間・近隣のように、対面的(フェイス・トゥ・フェイス)で親密な結びつきをもち、人格の形成に根本的な役割を果たす集団を第一次集団と呼びました。「第一次」とは人間が最初に出会い、人間性の土台を作るという意味です。第二次集団(企業・学校・国家など目的のための間接的な集団)という語はクーリー自身ではなく後の研究者が対にして作ったものです。

マッキーヴァーは『コミュニティ』(1917 年)で、一定の地域で営まれる共同生活の全体(村・町・国)をコミュニティ、その中で特定の目的や関心のために人為的に作られる組織(教会・企業・学校・国家)をアソシエーションと呼びました。ポイントは「アソシエーションはコミュニティの中に作られる(コミュニティの器官)」という関係で、両者は対立する 2 種類ではなく包含関係にあります。また、マッキーヴァーは国家もアソシエーションの一つとみなしました(多元的国家論。zp-01)。

サムナーは『フォークウェイズ』(1906 年)で、自分が属し「われわれ」と感じる内集団と、よそ者とみなす外集団を区別し、自集団の価値を基準に他集団を低く見る態度をエスノセントリズム(自民族中心主義)と呼びました。集団の慣習であるフォークウェイズ(習俗)のうち、集団の福祉に関わり違反が強く非難されるものがモーレス(道徳的習律)です。

高田保馬は、血縁・地縁のような自然的なつながりにもとづく基礎社会(家族・村落・国家)と、その中から類似や利益にもとづいて派生する派生社会(会社・組合・教会)を区別しました。ギディングスは、血縁・地縁により自然に生まれた生成社会と、特定の目的のために作られた組成社会を区別し、社会の基礎に「自分と似た者を仲間と感じる」同類意識を置きました。

準拠集団(マートン・ハイマン)は上のような 2 分法とは別の概念で、「人が態度や判断の基準にする集団」です。所属集団と一致するとは限らず、所属していない集団を準拠集団にして前もってその価値を身につけることを予期的社会化、準拠集団との比較で生じる不満を相対的剥奪と呼びます(zy-02)。

試験ではこう問われます。「マッキーヴァーは対面的で親密な集団をと呼んだ」は人名のすり替え。「アソシエーションとは地域的な共同生活の全体である」は 2 語の入れかえ。「コミュニティとアソシエーションは互いに排他的な 2 種類の集団である」は包含関係を無視した誤りです。


2. 家族の類型と機能

まずここだけ

家族の形は 3 つの基本型で整理します。

類型構成別名
核家族夫婦と未婚の子(または夫婦のみ・ひとり親と子)夫婦家族
直系家族親と、跡取りの子ども夫婦(1 組だけ)が同居。世代をタテにつなぐ日本の「家」に近い
拡大家族(複合家族)親と複数の子ども夫婦が同居。ヨコにも広がる合同家族

フランスのル=プレーは 19 世紀に家族を家父長制家族(複数の子夫婦が同居)・直系家族(1 組の子夫婦だけが残る)・不安定家族(子が独立して核家族ごとに分かれる)に分け、直系家族を安定した理想の型とみました。この 3 分類が上の表の原型です。

個人から見た区別も出題されます。自分が生まれ育った家族(親と自分)を定位家族、自分が結婚して作る家族(自分と配偶者・子)を生殖家族と呼びます。1 人の人間は 2 つの核家族に属することになります。

ここまでできれば十分

マードック(アメリカ)は『社会構造』(1949 年)で、世界 250 の社会を比較し、核家族はどの社会にも存在する普遍的な単位だと主張しました(核家族普遍説)。直系家族や拡大家族も核家族が組み合わさったものとみます。核家族が果たす機能として、次の 4 機能を挙げました。

機能内容
性的機能夫婦間の性関係を承認・規制する
経済的機能性別分業による生産・消費の協働
生殖機能子どもを産み、社会の成員を補充する
教育機能(社会化)子どもに文化を伝え、社会の一員にする

パーソンズは『家族』(1955 年、ベールズと共著)で、近代の産業社会では家族は親族のネットワークから切り離された孤立した核家族になり、多くの機能が外部(学校・企業・行政)に移った結果、家族に残る基本的で他に譲れない 2 機能は、子どもの社会化(基礎的社会化)と成人のパーソナリティの安定化であるとしました。また、夫婦の役割を、外で稼ぎ目標を達成する手段的役割(夫)と、家庭内の情緒を担う表出的役割(妻)に分けました。この性別役割分業は、のちにフェミニズムから批判されます(zy-05)。

家族機能の縮小(外部化)を早く指摘したのはオグバーンです。家族がもっていた経済・地位付与・教育・保護・宗教・娯楽・愛情の 7 機能のうち、愛情以外は外部の専門機関に移ったと論じました。バージェスロックは『家族 ── 制度から友愛へ』(1945 年)で、慣習・法・世論で結ばれた制度的家族から、愛情と相互理解で結ばれた友愛的家族へ家族が変化していると論じました。

日本の家制度。明治民法(1898 年施行)は、戸主が家族員を統率し、家の財産と地位を長男が単独で継ぐ家督相続を定めた「家」制度をとりました。日本国憲法 24 条(個人の尊厳と両性の本質的平等)を受けた 1947 年の民法改正で家制度は廃止され、夫婦とその子を単位とする家族観に変わりました。

もう一歩(発展)

日本の世帯の変化は、国勢調査の数値を年つきで押さえます(総務省統計局「令和 2 年国勢調査 人口等基本集計結果」)。

「核家族化」という語は、戦後の高度成長期に核家族世帯のが増えたことを指しますが、近年は核家族世帯の割合は横ばいから減少で、伸びているのは単独世帯です。「現在も核家族世帯の割合が上昇し続けている」という肢は誤りになります。

試験ではこう問われます。「マードックは核家族の機能を子どもの社会化と成人のパーソナリティの安定化の 2 つに限定した」はパーソンズのすり替え。「パーソンズは核家族が普遍的に存在することを 250 の社会の比較で示した」はマードックのすり替え。「定位家族とは自分が結婚して作る家族である」は生殖家族との入れかえです。


3. 官僚制 ── ウェーバーとその逆機能

まずここだけ

ウェーバーは、近代の官僚制を合法的支配の最も純粋な形態とし、その特徴を次のように整理しました(zy-01zq-02)。

ウェーバーはこれを「精確・迅速・明確」で技術的に最も合理的な組織形態と評価しつつ、いったん成立した官僚制は壊しにくく、人間を「鉄の檻」に閉じ込めるおそれがあることも指摘しました。ただしウェーバー自身は官僚制の「逆機能」を体系的に論じてはいません。逆機能論は次のマートンからです。

ここまでできれば十分

マートンは、官僚制の特徴がそのまま非能率を生む官僚制の逆機能を指摘しました。

官僚制の特徴逆機能
規則の遵守規則を守ること自体が目的になる目標の転移(置換)。手段の目的化・儀礼主義
専門的訓練訓練どおりの対応しかできず、状況の変化に対応できない訓練された無能力(もとはヴェブレンの語)
没人格性形式的・機械的な対応(お役所仕事)で、市民の個別事情を無視する
階統制・文書主義責任回避・前例踏襲・セクショナリズム(縄張り意識)

マートン以後の官僚制研究も人名つきで問われます。

ミヘルスは『政党社会学』(1911 年)で、ドイツ社会民主党という民主的な組織を目指す政党でさえ、組織が大きくなると専門知識と情報を握る少数の幹部が支配し、大衆は従うようになると論じました(寡頭制の鉄則)。組織の規模拡大と専門化が寡頭制を必然的に生む、という主張で、パレートのエリートの周流・モスカの支配階級論とあわせて「エリート論」として問われます。

もう一歩(発展)

組織論の古典は経営学(zo-01)・行政学(zq-01)と重なります。社会学で問われる要点だけまとめます。

試験ではこう問われます。「ウェーバーは官僚制の特徴がかえって非能率を生む逆機能を指摘した」はマートンのすり替え。「は照明を明るくするほど生産性が上がることを示し、科学的管理法の正しさを裏づけた」は結論が逆。「ミヘルスは民主的な政党では寡頭制は生じないとした」も逆で、民主的な政党でさえ寡頭制になるのが「鉄則」です。


4. よくある間違い

間違い正しくは
第一次集団/第二次集団はマッキーヴァーの区分クーリー。マッキーヴァーはコミュニティ/アソシエーション
アソシエーションは地域的な共同生活の全体それはコミュニティ。アソシエーションは特定の目的のためにコミュニティの中に作られる組織
内集団/外集団はテンニースサムナー。テンニースはゲマインシャフト/ゲゼルシャフト
基礎社会/派生社会はギディングス高田保馬。ギディングスは生成社会/組成社会
準拠集団はつねに所属集団と一致する一致しない場合がある(予期的社会化・相対的剥奪の説明に使う)
マードックは核家族の 2 機能を挙げた4 機能(性・経済・生殖・教育)。2 機能(子どもの社会化・成人のパーソナリティの安定化)はパーソンズ
直系家族は複数の子ども夫婦が同居するそれは拡大家族(複合家族)。直系家族は 1 組の跡取り夫婦だけが同居
定位家族は自分が結婚して作る家族定位家族は生まれ育った家族。結婚して作るのは生殖家族
日本の家制度は 1898 年の民法で廃止された明治民法(1898 年施行)が家制度を定め、1947 年の民法改正で廃止
現在の日本で最も多い世帯類型は夫婦と子どもから成る世帯単独世帯(38.1%・2020 年国勢調査)。夫婦と子どもは 25.1%
ウェーバーが官僚制の逆機能を指摘したマートン。ウェーバーは官僚制を最も合理的な組織形態と評価した
訓練された無能力とは訓練不足による無能力訓練を受けたがゆえに決まった対応しかできなくなること
ミヘルスは民主的な組織では寡頭制は生じないとした逆。民主的な政党でさえ寡頭制になる(寡頭制の鉄則)
ホーソン実験は科学的管理法の正しさを証明した逆。非公式集団と人間関係の影響を見いだし、人間関係論の出発点になった

5. 覚え方の型

  1. 集団の 2 分法は「人名 → 語の対 → 基準」の 6 行表を丸ごと書けるようにする。テンニース(意志)・クーリー(対面)・マッキーヴァー(地域か目的か)・サムナー(われわれか)・高田(血縁地縁か利益か)・ギディングス(自然か人為か)
  2. 家族機能は「マードック 4・パーソンズ 2」。4 は「性・経済・生殖・教育」、2 は「子どもの社会化・大人の安定化」
  3. 家族類型は「タテに 1 組=直系、ヨコにも広がる=拡大、夫婦と子だけ=核
  4. 官僚制は「ウェーバー=理念型と評価、マートン=逆機能、グールドナー=3 型、ブラウ=非公式関係、ミヘルス=寡頭制」の 5 人セット
  5. 統計は「単独 38%・2.21 人・2020 年」の 3 つの数字だけ覚え、細かい数字は出題時に消去法で対応する

6. 小テストへ

→ 小テスト(zy-03

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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