地方上級 / 判断推理 / zs-09
平面図形の構成(折り紙・敷き詰め・軌跡)
この単元でできるようになること
- 折った紙に切り込みを入れて開いたときの形を、折り目を対称の軸にして逆にたどる手順で求められる
- 平面を敷き詰められる正多角形と、その理由(1 つの頂点に集まる角が 360°)を説明できる
- 一筆書きができるかどうかを、奇点(奇数本の線が集まる点)の数で判定できる
- 多角形が直線上を転がるときの頂点の軌跡を「円弧のつなぎ」としてかき、長さを計算できる
- 方眼の中の正方形・長方形の個数、多角形の対角線の本数を、公式と数え上げの両方で出せる
試験での位置づけ
平面図形の構成は、判断推理の中で図を頭の中で動かす力を問う単元です。地方上級・市役所では折り紙と軌跡が出題されやすく、国家一般職では敷き詰め・一筆書き・図形の個数を数える問題も見かけます。計算はほとんど要りませんが、手を動かして図をかかないと確実には解けないのが特徴です。空間図形(zs-10)に進む前の準備でもあり、軌跡の長さの計算では平面図形の計量(zs-19)の円弧の公式を使います。
1. 折り紙 ── 折り目を軸にして「開く」
まずここだけ
紙を折って切り、開いたときの形を問う問題は、最後の折り目から 1 つずつ、折り目を対称の軸にして図を写すと確実です。折るときの逆再生をするだけなので、暗算で一気に開こうとしないことが大切です。
正方形の紙を半分に折り、さらに半分に折って 4 分の 1 の正方形にする。折り重なった中心の角(もとの紙の中心にあたる角)を三角形に切り落として開く。 開くと、中心に正方形(45° 傾いた形)の穴があく。切り落とした三角形が 4 枚重なっていて、折り目を軸に写すと 4 つの直角三角形が中心を囲むから。
ここまでできれば十分
穴の数・切り口の数は、重なっている紙の枚数で決まります。半分に折る操作を n 回すると紙は 2ⁿ 枚重なるので、1 か所に穴をあけて開くと穴は 2ⁿ 個です(折り目の上に穴が乗ると数が減るので、問題文に「折り目にかからない位置」とあることが多い)。
折り目の上を切る場合は、切り口が折り目でつながるので、開くと穴が 1 つにまとまったり、紙が分かれたりします。「開くと何枚に分かれるか」を問われたら、切り込みが折り目をまたいでいるかどうかを確かめます。
もう一歩(発展)
対角線で折る操作が混ざると、対称の軸が斜めになります。写す前に、折り目の線を図に太くかき入れると間違えません。開いた形は折り目に関して対称なので、選択肢の中に「折り目に対して対称でない形」があれば、それは最初に消せます。
2. 敷き詰め ── 頂点に集まる角が 360° になるか
まずここだけ
1 種類の正多角形だけで平面をすき間なく敷き詰められるのは、正三角形・正方形・正六角形の 3 種類だけです。理由は、1 つの頂点のまわりに集まる角の和が 360° にならなければならないからです。
| 正多角形 | 1 つの内角 | 360° ÷ 内角 | 敷き詰め |
|---|---|---|---|
| 正三角形 | 60° | 6 | できる |
| 正方形 | 90° | 4 | できる |
| 正五角形 | 108° | 3.33… | できない |
| 正六角形 | 120° | 3 | できる |
| 正八角形 | 135° | 2.67… | できない(正方形と組み合わせれば可) |
正 n 角形の 1 つの内角は 180° × (n − 2) ÷ n です。n が 7 以上では内角が 120° を超え、3 つ集めると 360° を超えるので、1 種類では敷き詰められません。
ここまでできれば十分
長方形を正方形で敷き詰める問題は、最大公約数を使います。縦 12 cm、横 18 cm の長方形を同じ大きさの正方形で余りなく敷き詰めるとき、いちばん大きい正方形の 1 辺は 12 と 18 の最大公約数 6 cm で、枚数は (12 ÷ 6) × (18 ÷ 6) = 6 枚です。逆に、正方形を長方形のタイルで作る問題は最小公倍数を使います(縦 4 cm × 横 6 cm のタイルで作れる最小の正方形は 1 辺 12 cm、枚数は 12² ÷ 24 = 6 枚)。
タイルの並べ方の数(1 × 2 のタイルで 2 × n の床を敷く)は、n 番目の並べ方の数が「1 つ前 + 2 つ前」になり、1、2、3、5、8、13、… と続きます。これは数列(zs-18)で扱う漸化式の代表例です。
3. 一筆書き ── 奇点の数だけ見る
まずここだけ
図形の線をすべて 1 回ずつ通って(同じ線を 2 度なぞらず)かけるかどうかは、奇点の個数で決まります。奇点とは、その点に集まる線の本数が奇数の点です。
- 奇点が 0 個 → 一筆書きできる。どの点から始めても、出発点に戻ってくる
- 奇点が 2 個 → 一筆書きできる。一方の奇点から始めて、もう一方で終わる
- 奇点が 4 個以上 → 一筆書きできない
奇点の個数はつねに偶数になります(線 1 本は 2 つの端を持つので、全部の点の線の本数の合計は偶数だから)。
ここまでできれば十分
奇点が 2k 個(k ≧ 1)の図形は、最少 k 筆でかけます。また、奇点が 2k 個の図形を一筆書きできるようにするには、奇点どうしを結ぶ線を k − 1 本書き足せば足ります(線を 1 本足すと、その両端の点の本数が 1 ずつ増えて、奇点 2 つが偶点に変わる)。
田の字(外側の正方形を十字で 4 つに区切った図)。外側の 4 つの角は 2 本、辺の中点 4 つは 3 本、中心は 4 本。奇点は 4 個なので一筆書きはできず、最少 2 筆。線を 1 本足せば一筆書きできる。
4. 軌跡 ── 「回転の中心」と「半径」を毎回確かめる
まずここだけ
多角形が直線上をすべらずに転がるとき、図形は直線に接している頂点を中心に回転します。したがって、ある頂点 P の軌跡はいくつかの円弧をつないだ線になり、各円弧の
- 中心は、そのとき床に接している頂点
- 半径は、その中心から P までの距離
- 中心角は、180° − (床に接している頂点の内角)
です。正三角形(内角 60°)なら 1 回の回転は 120°、正方形(90°)なら 90°、正六角形(120°)なら 60° です。
ここまでできれば十分
1 辺 a の正三角形 ABC が、頂点 A を左下にして直線上に置かれ、右へ転がって 1 回転する(もとの向きに戻る)。頂点 A の軌跡の長さは。 回転は 3 回。1 回目は C を中心に A が動く(半径 a、120°)。2 回目は B を中心に A が動く(半径 a、120°)。3 回目は A 自身が中心なので A は動かない。 長さ = 2πa × 120/360 × 2 = 4πa/3
1 辺 a の正方形の頂点 P の軌跡(1 回転)。 半径 a・90°、半径 a√2(対角線)・90°、半径 a・90°、最後は P が中心で動かない。 長さ = 2πa/4 × 2 + 2πa√2/4 = πa + (√2/2)πa
P が回転の中心になる回は動かないことと、対角線が半径になる回があることの 2 点を見落とすと、長さを間違えます。
もう一歩(発展)
円が転がる問題は、中心の軌跡で考えると簡単です。半径 r の円が長さ L の直線上を転がるとき、中心は直線に平行に L だけ動きます。半径 r の円が、半径 R の円の外側を 1 周転がるとき、中心の軌跡は半径 R + r の円で、円が回転する回数は 2π(R + r) ÷ 2πr = (R + r)/r 回です(内側なら (R − r)/r 回)。R = 3r なら外側は 4 回転、内側は 2 回転です。「円周の長さの比 R/r = 3 回転」と答えると誤りになる、有名な引っかけです。
5. 図形の個数を数える
まずここだけ
n × n の方眼に含まれる正方形の個数は、1 辺 1 の正方形が n² 個、1 辺 2 が (n − 1)² 個、…、1 辺 n が 1 個なので、1² + 2² + … + n² = n(n + 1)(2n + 1)/6 個です。3 × 3 なら 9 + 4 + 1 = 14 個、4 × 4 なら 30 個です。
m × n の方眼に含まれる長方形(正方形を含む)の個数は、縦線 m + 1 本から 2 本、横線 n + 1 本から 2 本を選ぶ組み合わせなので、C(m + 1, 2) × C(n + 1, 2) 個です。3 × 3 なら 6 × 6 = 36 個です。
ここまでできれば十分
正 n 角形の対角線の本数は、n 個の頂点から 2 つ選ぶ C(n, 2) 通りから辺の n 本を引いて、n(n − 3)/2 本です。正六角形なら 9 本、正十角形なら 35 本です。
n 本の直線で平面(または円の内部)を分ける最大の領域数は、k 本目の直線がそれまでの k − 1 本すべてと交わると領域が k 個増えるので、1 + (1 + 2 + … + n) = n(n + 1)/2 + 1 です。4 本なら 11、5 本なら 16 です。
正三角形を 1 辺 n 等分した格子の中の、上向きの正三角形の個数は、1 辺 k の上向き三角形が (n − k + 1)(n − k + 2)/2 個あるので、合計は C(n + 2, 3) 個です(n = 3 なら 6 + 3 + 1 = 10 個)。下向きの三角形は別に数えるので、「すべての正三角形」を問われたら注意が必要です。
6. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 折り紙を開くとき、頭の中で一気に開いて形を想像する | 最後の折り目から 1 つずつ、折り目を軸に対称に写す |
| 正五角形も敷き詰められると思う | 内角 108° は 360° を割り切れない。1 種類では正三角形・正方形・正六角形だけ |
| 一筆書きは「線が交わっていなければできる」と考える | 奇点の個数(0 個か 2 個)で判定する |
| 転がる正方形の頂点の軌跡を、半径がすべて a の円弧と考える | 対角線 a√2 が半径になる回がある。頂点が中心の回は動かない |
| 円が円のまわりを 1 周する回数を、円周の比 R/r と答える | 中心の軌跡で考えて (R + r)/r 回 |
| 3 × 3 の方眼の正方形を 9 個と数える | 1 辺 2・1 辺 3 の正方形も含めて 14 個 |
7. 解き方の型
- 折り紙は、折り目を図に太くかいてから、最後の折り目から順に対称に写す。選択肢のうち折り目に対して対称でない形を先に消す
- 敷き詰めは、1 つの頂点に集まる角の和が 360° になるかを確かめる。長方形と正方形の敷き詰めは最大公約数・最小公倍数
- 一筆書きは、各点に集まる線の本数を書き込み、奇点の個数を数える(0 か 2 なら可)
- 軌跡は、回転ごとに「中心はどの頂点か・半径はいくらか・中心角は何度か」の 3 つを表にしてから、円弧の長さを足す
- 個数を数える問題は、公式と「小さい場合で実際に数える」の両方で確かめる
8. 小テストへ
→ 小テスト(zs-09)
関連する単元
- 前提:m2-09 平行線と角・多角形の内角外角、m1-15 円とおうぎ形(中学数学)、zs-11 整数の性質(最大公約数・最小公倍数)
- 次に進む:zs-10 空間図形、zs-19 平面図形の計量(円弧の長さ・面積)
- 同じ考え方を使う:zs-16 場合の数(図形の個数の数え上げ)、zs-18 数列と規則性・魔方陣(タイルの並べ方の漸化式)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 中学校数学の教科書(多角形の内角・円弧の長さ)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-09/ / 更新 2026-09-14