地方上級 / 数的推理 / zs-19
平面図形の計量(面積・相似・三平方の定理)
この単元でできるようになること
- 三角形・台形・ひし形・おうぎ形の面積を、公式を「なぜそうなるか」ごと使える
- 底辺比=面積比で、線分で分けられた三角形の面積を割り算だけで出せる
- 相似な図形を見つけ、相似比 → 面積比は 2 乗で計算できる
- 三平方の定理と特別な直角三角形(3 : 4 : 5、1 : 1 : √2、1 : 2 : √3)で長さを出せる
- 円・おうぎ形と多角形を組み合わせた「影の部分」の面積を、足し引きで出せる
試験での位置づけ
数的推理の図形問題は、地方上級・国家一般職とも数問はふくまれることが多い分野です。中学数学の範囲(相似・三平方・円)が中心で、高校の三角比や公式はほとんど要りません。その代わり、補助線を引いて「知っている形」に分ける力が問われます。試験問題には図がついていますが、この単元では図を言葉で伝えられる問題にしぼっています。頭の中で図をかきながら読む練習は、本番で「図のどこに注目するか」を決める練習にもなります。判断推理の zs-09 平面図形の構成(折り紙・敷き詰め・軌跡)とは、同じ図形でも「量を計算する」か「形を追う」かで分かれます。
1. 面積 ── 公式より「分け方」
まずここだけ
| 図形 | 面積 |
|---|---|
| 三角形 | 底辺 × 高さ ÷ 2 |
| 平行四辺形 | 底辺 × 高さ |
| 台形 | (上底 + 下底) × 高さ ÷ 2 |
| ひし形(対角線が垂直な四角形全般) | 対角線 × 対角線 ÷ 2 |
| 円 | πr² |
| おうぎ形 | πr² × 中心角/360(弧の長さ × 半径 ÷ 2 でも同じ) |
上底 3 cm、下底 7 cm、高さ 4 cm の台形 → (3 + 7) × 4 ÷ 2 = 20 cm²
台形は「長方形 + 三角形」に分けても同じです(3 × 4 + 4 × 4 ÷ 2 = 12 + 8 = 20)。公式を忘れたら分ければよい、と思っておくと落ち着けます。
ここまでできれば十分
底辺比 = 面積比。高さが同じ 2 つの三角形の面積の比は、底辺の比と同じです。
面積 30 cm² の三角形 ABC で、辺 BC 上に BD : DC = 2 : 3 となる点 D をとる。三角形 ABD の面積は? A から BC への高さは共通 → 面積比 = BD : DC = 2 : 3 → 30 × 2/5 = 12 cm²
これを 2 回重ねる問題が標準的です。
さらに AD 上に AE : ED = 1 : 2 となる点 E をとる。三角形 EBD は? 三角形 ABD(12 cm²)と三角形 EBD は底辺 BD が共通で、高さの比は ED : AD = 2 : 3 → 12 × 2/3 = 8 cm²
「共通の底辺か、共通の高さか」を毎回口に出して確認すると、比の向きを間違えません。
もう一歩(発展)
等積変形:平行線の間にある三角形は、頂点を平行線に沿って動かしても面積が変わりません。「平行四辺形の内部の点 P と 4 頂点を結んだ 4 つの三角形のうち、向かい合う 2 つの面積の和は全体の半分」など、面積の関係を式なしで出す問題に使います。
2. 相似 ── 相似比 → 面積比は 2 乗
まずここだけ
相似な図形で、対応する長さの比(相似比)が m : n なら、面積比は m² : n²です。
相似比 2 : 3 の三角形。小さい方が 8 cm² なら、大きい方は 8 × 9/4 = 18 cm²
相似な三角形は、次の 2 つの形で現れます。
- ピラミッド型:三角形 ABC の辺 AB、AC 上に D、E があり DE ∥ BC → 三角形 ADE ∽ 三角形 ABC。相似比は AD : AB(AD : DB ではない)
- 砂時計型:AD ∥ BC の台形 ABCD で対角線の交点を O → 三角形 AOD ∽ 三角形 COB。相似比は AD : BC
ここまでできれば十分
三角形 ABC で DE ∥ BC、AD : DB = 2 : 1、三角形 ABC の面積が 36 cm²。台形 DBCE の面積は? 相似比は AD : AB = 2 : 3(2 : 1 ではない)→ 面積比 4 : 9 → 三角形 ADE = 36 × 4/9 = 16 → 台形 = 36 − 16 = 20 cm²
砂時計型の台形は、4 つの三角形をまとめて出せます。
AD : BC = 1 : 2 の台形で、三角形 AOD の面積が 3 cm²。台形全体は? AOD : COB = 1² : 2² = 1 : 4。三角形 ABO と DCO は、AO : OC = 1 : 2 の底辺比から AOD の 2 倍ずつ。 合計 = 1 + 4 + 2 + 2 = 9 → 3 × 9 = 27 cm²
「AOD = 1、COB = n²、残り 2 つは n ずつ、合計 (1 + n)²」と覚えると速くなります。
もう一歩(発展)
中点連結定理:三角形の 2 辺の中点を結ぶ線分は、残りの辺に平行で長さは半分。これはピラミッド型の相似比 1 : 2 の場合です。四角形の 4 辺の中点を結ぶと必ず平行四辺形になり、面積はもとの半分になります。
3. 三平方の定理 ── 特別な三角形を先に疑う
まずここだけ
直角三角形で、直角をはさむ 2 辺を a、b、斜辺を c とすると a² + b² = c²。
計算の前に、次の組に当てはまらないか見ます。
| 辺の比 | 例 |
|---|---|
| 3 : 4 : 5 | 6 : 8 : 10、9 : 12 : 15 |
| 5 : 12 : 13 | 10 : 24 : 26 |
| 8 : 15 : 17 | |
| 7 : 24 : 25 | |
| 1 : 1 : √2 | 直角二等辺三角形(正方形の対角線) |
| 1 : 2 : √3 | 30°・60°・90°(正三角形の半分) |
1 辺 6 cm の正三角形の高さ → 3 : 6 : 高さ が 1 : 2 : √3 → 高さ = 3√3 cm、面積 = 6 × 3√3 ÷ 2 = 9√3 cm²
ここまでできれば十分
円と組み合わせる問題は、中心から弦や接点に線を引いて直角三角形を作ります。
半径 5 cm の円で、中心から 3 cm の距離にある弦の長さ 中心から弦に垂線 → 半径 5、距離 3 の直角三角形 → 残り 4 → 弦は 8 cm(垂線は弦を二等分する)
直角三角形の内接円の半径 r は、面積の 2 通りの表し方から出します。
3 辺 6、8、10 の直角三角形。面積 = 6 × 8 ÷ 2 = 24。一方、内心と 3 頂点を結んで 3 つに分けると 面積 = r × (6 + 8 + 10) ÷ 2 = 12r → r = 2 cm 直角三角形だけの近道:r = (a + b − c) ÷ 2 = (6 + 8 − 10) ÷ 2 = 2
もう一歩(発展)
正六角形は中心で正三角形 6 個に分かれるので、1 辺 a の正六角形の面積は 6 × (√3/4)a² = (3√3/2)a²。半径 6 cm の円に内接する正六角形なら 1 辺も 6 cm で、54√3 cm² になります。「円に内接する正多角形」は中心と頂点を結ぶのが第一手です。
4. 円とおうぎ形 ── 影の部分は「足す・引く」
まずここだけ
- 弧の長さ = 2πr × 中心角/360
- おうぎ形の面積 = πr² × 中心角/360
半径 6 cm、中心角 60° → 弧 = 2π × 6 × 1/6 = 2π cm、面積 = π × 36 × 1/6 = 6π cm²
ここまでできれば十分
影の部分の面積は、知っている形の足し引きに直します。
1 辺 4 cm の正方形から内接円を除いた部分 正方形 16 − 円 π × 2² = 16 − 4π cm²
1 辺 a の正方形の、隣り合う 2 頂点を中心とする半径 a の四分円 2 つが重なる葉っぱ形 四分円 2 つ − 正方形 = 2 × (πa²/4) − a² = (π/2 − 1)a²
半径 r、中心角 90° のおうぎ形から直角二等辺三角形を除いた弓形 πr²/4 − r²/2 = (π/4 − 1/2) r²
「おうぎ形 − 三角形」「正方形 − おうぎ形」「半円 + 三角形」のどれかに、たいてい落ちます。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| ピラミッド型で相似比を AD : DB にする | 相似比は AD : AB(全体との比) |
| 相似比 2 : 3 → 面積比 2 : 3 | 面積比は 4 : 9(2 乗) |
| おうぎ形の弧の長さに πr² を使う | 弧は 2πr × 中心角/360。面積が πr² × 中心角/360 |
| 台形の対角線で分けた 4 つの三角形を全部相似とみなす | 相似なのは AOD と COB だけ。ABO と DCO は底辺比で出す |
| 三平方で「斜辺² = 差」と引き算する | 斜辺を求めるときは足す。他の辺を求めるときだけ引く |
6. 解き方の型
- 図を頭にかき、直角・平行・等しい長さに印をつける
- 平行があれば相似(ピラミッド型・砂時計型)を探す。相似比は「全体との比」で
- 面積を問われたら、公式に入れる前に「底辺比で出せないか」「足し引きで出せないか」を考える
- 長さを問われたら、直角三角形を作って三平方。まず特別な比の組を疑う
- 円があれば、中心から接点・弦・頂点へ線を引く
7. 小テストへ
→ 小テスト(zs-19)
関連する単元
- 前提:m3-11 相似な図形、m3-13 相似の利用・面積比と体積比、m3-16 三平方の定理、m1-15 円とおうぎ形(中学数学)
- 次に進む:zs-20 立体の計量(体積・表面積・最短距離)
- 同じ考え方を使う:zs-09 平面図形の構成(折り紙・敷き詰め・軌跡)、h1-12 図形の計量(高校数学 Ⅰ)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 数学編」── 相似・三平方の定理・円の扱い
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-19/ / 更新 2026-09-14