地方上級 / 数的推理 / zs-11

更新 2026-09-14

整数の性質(約数・倍数・余り・N 進法)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

整数の性質は、数的推理の中で単独でも出るうえに、ほかの単元の下ごしらえにもなる単元です。地方上級・国家一般職とも、約数の個数・余りの問題・N 進法は出題されやすい形です。覆面算・虫食い算(zs-21)は整数の性質そのものですし、場合の数(zs-16)や数列(zs-18)の途中でも倍数・余りの考え方を使います。公式を覚えるだけでなく、「なぜその公式になるか」を素因数分解で説明できるようにしておくと、少しひねった問題にも対応できます。


1. 約数と素因数分解

まずここだけ

整数は素因数分解すると性質がすべて見えます。

72 = 2³ × 3²

約数の個数は、各素因数の「指数 + 1」を掛けます。72 なら (3 + 1) × (2 + 1) = 12 個です。理由は、約数は 2 を 0〜3 個、3 を 0〜2 個選んで掛けたものだから(選び方 4 × 3 通り)。

約数の総和は、(1 + 2 + 2² + 2³) × (1 + 3 + 3²) = 15 × 13 = 195 です。展開すると 12 個の約数がすべて 1 回ずつ出てくるからです。

ここまでできれば十分

約数の個数が奇数になるのは平方数だけです。約数は「a × b = N」のペアで数えられ、ペアにならないのは a = b(N が平方数)のときだけだからです。「1 から 100 までの番号のついた電球のスイッチを、1 の倍数・2 の倍数・…・100 の倍数の順に押していくと、最後に点いているのは?」という有名な問題は、約数の個数が奇数の番号、つまり平方数 1・4・9・…・100 の 10 個が答えになります。

約数の個数から数を逆算する問題もあります。約数がちょうど 6 個の数は、6 = 6 × 1 または 3 × 2 なので、p⁵ の形(32 など)か p² × q の形(12、18、20、28 など)です。

もう一歩(発展)

末尾に並ぶ 0 の個数:1 × 2 × … × n(n の階乗)の末尾の 0 の数は、素因数 5 の個数で決まります(2 は 5 より多いので)。n ÷ 5、n ÷ 25、n ÷ 125、… の商(小数切り捨て)を足します。30! なら 6 + 1 = 7 個です。


2. 最大公約数と最小公倍数

まずここだけ

素因数分解して、最大公約数は共通の素因数を小さい方の指数で、最小公倍数はすべての素因数を大きい方の指数で掛けます。

72 = 2³ × 3²、60 = 2² × 3 × 5 最大公約数 = 2² × 3 = 12、最小公倍数 = 2³ × 3² × 5 = 360

2 つの数 a、b について、a × b = 最大公約数 × 最小公倍数 がつねに成り立ちます(72 × 60 = 4,320 = 12 × 360)。「最大公約数が 6、最小公倍数が 180 の 2 数」のような問題は、a = 6m、b = 6n(m と n は互いに素)と置き、mn = 180 ÷ 6 = 30 から (m, n) = (1, 30)、(2, 15)、(3, 10)、(5, 6) を出します。

ここまでできれば十分

文章題では、「余りなく分ける・敷き詰める・切り分ける」は最大公約数、「そろう・出会う・周期」は最小公倍数です。

縦 36 cm、横 48 cm の長方形の紙を、同じ大きさの正方形に余りなく切り分ける。正方形をできるだけ大きくすると 1 辺は? → 最大公約数 12 cm、枚数は 3 × 4 = 12 枚 A のバスは 12 分おき、B のバスは 18 分おきに出る。同時に出たあと、次に同時に出るのは? → 最小公倍数 36 分後

3 つ以上の数でも同じですが、「a × b × c = 最大公約数 × 最小公倍数」は成り立たないので注意します。

もう一歩(発展)

大きな数の最大公約数はユークリッドの互除法が速い方法です。「大きい方を小さい方で割り、割る数と余りで同じことをくり返す。余りが 0 になったときの割る数が最大公約数」です。1,071 と 462 なら、1,071 ÷ 462 = 2 余り 147、462 ÷ 147 = 3 余り 21、147 ÷ 21 = 7 余り 0 → 最大公約数 21


3. 余りの問題 ── 「倍数 ± 定数」に直す

まずここだけ

「a で割ると r 余る数」は a の倍数 + r です。複数の条件があるときは、余りの形をそろえると一気に解けます。

型 1:余りが同じ

4 で割っても 6 で割っても 1 余る数 → (4 と 6 の公倍数) + 1 = 12k + 1 → 1、13、25、37、…

型 2:不足が同じ

4 で割ると 3 余り、6 で割ると 5 余る数 → どちらも「あと 1 で割り切れる」ので (12 の倍数) − 1 → 11、23、35、…

型 3:どちらでもない

5 で割ると 2 余り、7 で割ると 4 余る数 → 小さい方から書き出して共通の数を探す。5 で割って 2 余る:2、7、12、17、22、27、32、… 7 で割って 4 余る:4、11、18、25、32、… → 最小は 32。以後は 35 おきなので 35k + 32

型 3 は書き出しがいちばん確実です。最初の 1 つが見つかれば、あとは最小公倍数おきに現れます。

ここまでできれば十分

「ある数で割る」側が未知の問題は、差をとります。

100 を割ると 4 余り、70 を割ると 7 余る自然数は? 100 − 4 = 96 と 70 − 7 = 63 の公約数で、かつ余り 7 より大きい数 → 96 と 63 の最大公約数は 3 → 公約数 1、3 のうち 7 より大きいものはない。よって該当なし (数値を変えて)100 を割ると 4 余り、76 を割ると 4 余る自然数は? → 96 と 72 の公約数のうち 4 より大きいもの → 24 の約数 6、8、12、24 の 4 個

「余りより大きい」の条件を忘れると数え間違えます。

もう一歩(発展)

累乗の余り・一の位は周期で解きます。7 の累乗の一の位は 7、9、3、1、7、… の周期 4 なので、7¹⁰⁰ の一の位は 100 ÷ 4 = 25 余り 0 → 周期の最後の 1 です。「3 で割った余り」なども、余りだけを掛けていけば周期が見つかります。


4. N 進法

まずここだけ

10 進法の 253 は 2 × 10² + 5 × 10 + 3 という意味です。N 進法も同じで、各けたは N の累乗の個数を表します。

N 進法 → 10 進法:けたごとに N の累乗を掛けて足す。

2 進法の 1101 = 1 × 8 + 1 × 4 + 0 × 2 + 1 = 13 5 進法の 243 = 2 × 25 + 4 × 5 + 3 = 73

10 進法 → N 進法:N で割り続けて、余りを下から読む。

45 を 3 進法に:45 ÷ 3 = 15 余り 0、15 ÷ 3 = 5 余り 0、5 ÷ 3 = 1 余り 2、1 ÷ 3 = 0 余り 1 → 下から読んで 1200

ここまでできれば十分

N 進法どうしの変換は、いったん 10 進法を経由するのが確実です。N 進法の計算(足し算・掛け算)も、10 進法に直してから計算し、答えを N 進法に戻します。N 進法のまま筆算するときは、「N になったら繰り上がる」だけを守ります。

N が分からない問題は、けたの意味から方程式を立てます。「N 進法で 41 と表される数が、10 進法では 25」なら 4N + 1 = 25 → N = 6。各けたの数字は N より小さい(この例では 4 < N)ことも条件になります。

もう一歩(発展)

N 進法で k けたの数の個数は、最高位が 1〜N−1 の N − 1 通り、ほかのけたが 0〜N−1 の N 通りなので (N − 1) × Nᵏ⁻¹ 個です。2 進法の 5 けたの数は 1 × 2⁴ = 16 個(16〜31)です。


5. 倍数の見分け方と連続する整数

まずここだけ

倍数見分け方
2一の位が偶数
3各けたの和が 3 の倍数
4下 2 けたが 4 の倍数(00 を含む)
5一の位が 0 か 5
62 の倍数かつ 3 の倍数
8下 3 けたが 8 の倍数
9各けたの和が 9 の倍数
11一の位から 1 けたおきに足した和の差が 0 か 11 の倍数

3 と 9 の見分け方は、10 = 9 + 1、100 = 99 + 1、… なので「各けたの数字 × (9 の倍数 + 1)」の和が、各けたの和と同じ余りになることから出ます。

ここまでできれば十分

連続する n 個の整数の積は n! で割り切れます(3 個の連続整数の積は 6 の倍数、4 個なら 24 の倍数)。「連続する 3 つの整数のうち、どれかは 3 の倍数で、どれかは 2 の倍数」だからです。「n³ − n = (n − 1)n(n + 1) が 6 の倍数であることを説明せよ」のような問題は、この性質を言い直すだけです。

1 から n までの整数のうち、a の倍数でも b の倍数でもない数の個数は、集合(zs-02)の考え方で「全体 − a の倍数 − b の倍数 + (a と b の公倍数)」です。1〜100 で 3 でも 5 でも割り切れない数は 100 − 33 − 20 + 6 = 53 個です。


6. よくある間違い

間違い正しくは
72 の約数の個数を「指数の積 3 × 2 = 6」とする指数に 1 を足して (3 + 1)(2 + 1) = 12
3 つの数でも「積 = 最大公約数 × 最小公倍数」を使う2 つの数のときだけ成り立つ
「割ると 3 余り」の数を書き出すとき、余りより小さい割る数を含める割る数は余りより大きい
N 進法の変換で、余りを上から読む最後の商から順に、余りを下から読む
「4 で割ると 3 余り、6 で割ると 5 余る」を 12k + 3 とするどちらも不足が 1 なので 12k − 1(11、23、…)
11 の倍数の判定で各けたの和を使う1 けたおきの和の差を見る(3 と 9 だけが各けたの和)

7. 解き方の型

  1. 数が出てきたら、まず素因数分解する(約数の個数・総和・最大公約数・最小公倍数はここから)
  2. 「余り」の条件は「倍数 + 余り」「倍数 − 不足」に書き直し、そろわなければ小さい方から書き出す
  3. 割る数が未知なら差をとって公約数を探し、「余りより大きい」で絞る
  4. N 進法は 10 進法を経由する。N が未知ならけたの意味で方程式を立て、各けたの数字 < N を確かめる
  5. 選択肢を絞るときは、倍数の見分け方と一の位の周期を使う

8. 小テストへ

→ 小テスト(zs-11

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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