地方上級 / 数的推理 / zs-16
場合の数
この単元でできるようになること
- 「同時に起こらないなら足す(和の法則)、続けて起こるなら掛ける(積の法則)」を使い分けられる
- 順列 P(並べる)と組合せ C(選ぶだけ)を、「順番を区別するか」で判断できる
- 円順列・同じものを含む順列・重複順列・重複組合せの 4 つの公式を、なぜそうなるかと一緒に使える
- 「隣り合う」「少なくとも 1 人」「0 を含む数字カード」などの定番条件を処理できる
- 最短経路・組分けの問題を組合せに読みかえられる
試験での位置づけ
場合の数は zs-17 確率の土台で、地方上級・国家一般職とも、場合の数か確率のどちらかが 1 問入ることがよくあります。公式を覚えるだけでは足りず、「この問題は並べているのか、選んでいるのか」を見抜くのが本体です。迷ったら小さい数で書き出して数える(総当たり)癖をつけると、公式の使い間違いに自分で気づけます。
1. 和の法則と積の法則
まずここだけ
- 和の法則:A の場合と B の場合が同時に起こらないとき、どちらかが起こる場合の数は A + B
- 積の法則:A が起こり、続けて B が起こるとき、両方が起こる場合の数は A × B
A 市から B 市へ 3 本、B 市から C 市へ 4 本の道がある。A から C へ行く道順は 3 × 4 = 12 通り(積) 行きと帰りで同じ道を通らずに往復する道順は、行き 12 通り × 帰り 2 × 3 = 6 通り = 72 通り
ここまでできれば十分
「場合分けして足す」が和の法則、「1 つずつ決めていって掛ける」が積の法則です。数字カードで整数を作る問題は、両方を組み合わせます。
0〜4 の 5 枚から 3 枚を並べて 3 桁の整数。 百の位は 0 以外の 4 通り、十の位は残り 4 通り、一の位は残り 3 通り → 4 × 4 × 3 = 48 通り
そのうち偶数は? 一の位で場合分け。 一の位が 0:百 4 × 十 3 = 12 通り。一の位が 2 か 4:百は 0 とその数以外の 3 通り、十は残り 3 通り → 3 × 3 × 2 = 18 通り。合計 30 通り
制約の強い位から決める(0 が使えない百の位、偶数にする一の位)のが鉄則です。
2. 順列 P と組合せ C
まずここだけ
nPr = n × (n − 1) × … × (n − r + 1)(n から r 個を並べる) nCr = nPr ÷ r!(n から r 個を選ぶだけ)
- 6 人から 3 人を選んで 1 列に並べる:6P3 = 6 × 5 × 4 = 120 通り
- 6 人から 3 人の委員を選ぶ:6C3 = 120 ÷ 3! = 20 通り
選んだ 3 人の並べ方 3! = 6 通りが「同じ選び方」として 1 つにまとまるので、P を r! で割ると C になります。役職や順位がつくなら P、つかないなら C。
nCr = nC(n − r) も便利です(8C6 = 8C2 = 28)。
ここまでできれば十分
「隣り合う」は、隣り合う人たちを 1 つのかたまりとみなし、かたまりの中の並べ方を最後に掛けます。
男子 4 人・女子 3 人が 1 列。女子 3 人が隣り合う並び方。 女子をひとかたまり → 5 つのものの並び 5! = 120、女子の中の並び 3! = 6 → 720 通り
「隣り合わない」は、隣り合わない人を先に並べたあと、間と両端に残りを入れます。男子 4 人を並べて(4!)、5 か所のすき間から 3 か所を選んで女子を並べる(5P3)→ 24 × 60 = 1,440 通り。
「少なくとも 1 人」は、全体から「1 人もいない」を引く(余事象)のが速い方法です。
男子 5 人・女子 3 人から 3 人選ぶ。女子が少なくとも 1 人含まれる選び方。 全体 8C3 = 56、女子 0 人(男子だけ)5C3 = 10 → 56 − 10 = 46 通り
3. 円順列・同じものを含む順列・重複順列
まずここだけ
| 型 | 公式 | なぜ |
|---|---|---|
| 円順列(n 人が円卓に) | (n − 1)! | 回転して同じになる n 通りを 1 つに数える。1 人を固定して残りを並べる |
| 同じものを含む順列 | n! ÷ (p! q! …) | 同じ文字どうしの入れかえは区別しない |
| 重複順列(何回使ってもよい) | n^r | 毎回 n 通りずつ選べる |
- 5 人が円卓:(5 − 1)! = 24 通り
- A、A、A、B、B の 5 文字を並べる:5! ÷ (3! × 2!) = 10 通り
- 1、2、3 を使って 4 桁の整数(何回使ってもよい):3^4 = 81 通り
ここまでできれば十分
円順列で「隣り合う」:隣り合う 2 人をかたまりにして (n − 1) 個の円順列 (n − 2)! を作り、かたまりの中の 2! を掛けます。6 人で A と B が隣り合う:4! × 2 = 48 通り。
じゅず順列(裏返しても同じ)は円順列の半分:(n − 1)! ÷ 2。ブレスレット・首かざりの問題で出ます。
「3 種類すべてを使う」重複順列は、全体から「2 種類以下しか使わない」を引きます。1、2、3 で 4 桁:全体 81、使う種類が 2 種類以下なのは 3C2 × 2^4 − 3 = 45(同じ数だけの 3 つを重複して引かないように調整)→ 81 − 45 = 36 通り。
4. 重複組合せ・最短経路・組分け
まずここだけ
重複組合せ(同じ種類を何個選んでもよい・買わない種類があってもよい):k 種類から n 個を選ぶ場合の数は
(n + k − 1) C (k − 1) = 「n 個の○と k − 1 本の仕切り|の並べ方」
りんご・みかん・ももの 3 種類から 5 個買う:○5 個と仕切り 2 本 → 7C2 = 21 通り
最短経路:碁盤の目で右に a 区画・上に b 区画進む最短経路は、「右 a 個と上 b 個の並べ方」なので
(a + b) C a (右 3・上 2 なら 5C2 = 10 通り)
ここまでできれば十分
組分けは、「組に名前があるか」「人数が同じ組があるか」で割る数が変わります。
- 6 人を A 組 2 人・B 組 2 人・C 組 2 人に分ける:6C2 × 4C2 × 2C2 = 90 通り
- 6 人を 2 人ずつ 3 組に分ける(組に区別なし):90 ÷ 3! = 15 通り
- 6 人を 2 人・2 人・2 人でなく 3 人・2 人・1 人に分ける(区別なし):6C3 × 3C2 × 1C1 = 60 通り(人数が違うので割らない)
同じ人数の組が m 組あるときだけ m! で割ると覚えてください。
もう一歩(発展)
最短経路で「ある地点を通る」は、そこまでの経路 × そこからの経路(積の法則)。「通れない地点がある」は、全体から「そこを通る経路」を引きます。図がある問題は、交差点ごとに「そこまでの経路数」を左と下から足して書きこむ方法(書きこみ法)が確実で、公式を使わなくても解けます。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 「3 人の委員を選ぶ」で 6P3 = 120 | 選ぶだけなら 6C3 = 20 |
| 円順列を n! にする | 回転で同じものを除いて (n − 1)! |
| 「少なくとも 1 人」を直接数えて漏れる | 全体 − 「1 人もいない」 |
| 0 を含むカードで先頭に 0 を許す | 先頭(最高位)は 0 以外から先に決める |
| 2 人ずつ 3 組(区別なし)を 90 通り | 組の入れかえ 3! で割って 15 通り |
| 重複組合せを k^n にする | k^n は重複順列(順番あり)。選ぶだけなら (n + k − 1)C(k − 1) |
6. 解き方の型
- 「並べる(順番あり)」か「選ぶ(順番なし)」かを決める → P か C か
- 「同じものを何回使ってよいか」「同じものが含まれているか」「円か」を確かめて公式を選ぶ
- 制約の強い位置・人から先に決める。「隣り合う」はかたまり、「少なくとも」は余事象
- 小さい数で書き出して、公式の答えと合うか確かめる
- 組分けは「組に名前があるか」「同じ人数の組がいくつあるか」で割る数を決める
7. 小テストへ
→ 小テスト(zs-16)
関連する単元
- 前提:ha-01 場合の数(和の法則・積の法則・順列・円順列・重複順列)・ha-02 組合せ(高校数学 A)
- 次に進む:zs-17 確率(場合の数の比)
- 同じ考え方を使う:zs-11 整数の性質(約数の個数の数え方)・zs-18 数列と規則性・魔方陣
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 高等学校 数学 A の教科書(場合の数と確率)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-16/ / 更新 2026-09-14