地方上級 / 判断推理 / zs-08

更新 2026-09-14

操作と手順(天秤・油分け算・ハノイの塔)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

「操作と手順」は判断推理の中で公式がほとんどない代わりに、決まった考え方を知っているかどうかで時間が大きく変わる単元です。地方上級・国家一般職では天秤と油分け算がよく問われ、市役所ではハノイの塔・川渡り型も見かけます。数え上げの部分は場合の数(zs-16)と、状態を表にする部分は対応関係(zs-03)と近い考え方を使います。


1. 天秤 ── 「3 つに分ける」が基本

まずここだけ

天秤に 1 回かけると、結果は「左が重い」「右が重い」「つり合う」の 3 通りです。だから 1 回で区別できるのは最大 3 グループ、n 回なら最大 3ⁿ グループです。

見た目が同じ硬貨 9 枚のうち 1 枚だけ軽い(にせ物)。天秤を最少何回使えば見つかるか。 3 枚ずつ 3 組に分けて 2 組をかける → 軽い方に、つり合えば残りの組ににせ物 → 3 枚を 1 枚ずつ分けてもう 1 回 → 2 回

枚数 n に対して、3ᵏ ≧ n となる最小の k が答えです。

枚数〜3〜9〜27〜81
回数1234

たとえば 10 枚なら 9 を超えるので 3 回、27 枚ならちょうど 3 回、28 枚なら 4 回です。

ここまでできれば十分

分け方のコツは、3 組の枚数をできるだけ等しくし、天秤に乗せない組を作ることです。8 枚なら 3・3・2 に分けます(4・4 に分けると 1 回で半分にしかしぼれず、合計 3 回かかる)。

重いか軽いかが分からない」問題は難しくなります。有名なのは「12 枚のうち 1 枚だけ重さが違い、重いか軽いかも分からない。3 回でにせ物を見つけ、重いか軽いかも判定せよ」という問題で、これは3 回で可能です(4・4・4 に分けて始める)。一般に、重い軽いが分からず軽重も判定する場合、k 回で調べられる枚数は (3ᵏ − 3)/2 枚まで(3 回なら 12 枚)です。この形は手順そのものを問われることは少なく、「最少回数」の知識として出ます。

もう一歩(発展)

「本物 1 枚が別にある」「にせ物が 2 枚ある」などの変形は、区別すべき場合の数を数えて 3ᵏ と比べるのが出発点です。12 枚で軽重不明なら、場合の数は 12 × 2 = 24 通り。3³ = 27 ≧ 24 なので 3 回で足りる可能性があり、実際に手順が作れます。13 枚なら 26 通りで 27 以下ですが、1 回目の乗せ方の制約で「にせ物を見つけるだけ」ならできても軽重の判定まではできない、というのが知られた結果です。


2. 油分け算 ── 状態を書き出す

まずここだけ

10 L の油が入った容器と、空の 7 L・3 L の容器がある。目盛りはない。油を 5 L ずつに分けるには、最少で何回移しかえればよいか。

移しかえは「移す側が空になる移される側がいっぱいになる」まで行うのが原則です。3 つの容器の量を (10 L, 7 L, 3 L) の順に書いて、状態を追います。

(10, 0, 0) → (3, 7, 0) → (3, 4, 3) → (6, 4, 0) → (6, 1, 3) → (9, 1, 0) → (9, 0, 1) → (2, 7, 1) → (2, 5, 3) → (5, 5, 0)

矢印は 9 本なので 9 回です。ここで使ったのは「大 → 中 → 小 → 大 の順にぐるぐる移す」という一方向のルールです。逆回り(大 → 小 → 中 → 大)でも試せますが、この問題では回数が増えます。試験では両方向を書き出して短い方を選ぶのが確実です。

ここまでできれば十分

水道と排水がある型(容器 2 つで量を作る)も、状態を (大, 小) で書くだけです。

5 L と 3 L の容器で 4 L を量る。 (0, 0) → (5, 0) → (2, 3) → (2, 0) → (0, 2) → (5, 2) → (4, 3):6 回

こちらも「大をいっぱいにして小へ移し、小がいっぱいになったら捨てる」の一方向で進みます。2 つの容器の容量が互いに素(最大公約数が 1)なら、大きい方の容量以下のどんな整数 L でも作れます。

もう一歩(発展)

油分け算で「できるかどうか」だけを問われたら、最大公約数で判断します。容量 6 L と 4 L の容器では、作れる量はすべて 2 の倍数(最大公約数 2 の倍数)なので、3 L は作れません。


3. ハノイの塔 ── 2ⁿ − 1 の理由

まずここだけ

3 本の棒と大きさの異なる n 枚の円盤。「1 回に 1 枚」「小さい円盤の上に大きい円盤を置かない」の 2 つのルールで全部を別の棒へ移す最少手数は 2ⁿ − 1 です。

枚数 n12345610
最少手数1371531631,023

理由は「1 枚増えると、手数は 2 倍 + 1」だからです。n 枚を移すには、①上の n−1 枚をいったん別の棒へ(前の手数)、②いちばん大きい 1 枚を目的の棒へ(1 手)、③n−1 枚をその上へ(前の手数)。つまり a(n) = 2 × a(n−1) + 1 で、a(1) = 1 から 1、3、7、15、… と 2ⁿ − 1 になります。

ここまでできれば十分

円盤ごとの移動回数も問われます。いちばん大きい円盤は 1 回、その次は 2 回、その次は 4 回、…、いちばん小さい円盤は 2ⁿ⁻¹ 回です。大きい方から k 番目の円盤は 2ᵏ⁻¹ 回動きます。合計すると 1 + 2 + 4 + … + 2ⁿ⁻¹ = 2ⁿ − 1 で、全体の手数と一致します。

「1 枚 1 秒で動かすと n 枚に何秒かかるか」「x 手目にどの円盤を動かすか」などの変形も、この2 倍+1 の構造から出せます。奇数手目はいつもいちばん小さい円盤を動かします。


4. そのほかの「最少回数」問題

まずここだけ

川渡り:大人 a 人と子ども 2 人が舟で川を渡る。舟に乗れるのは大人 1 人か子ども 2 人まで。全員が渡るには、大人 1 人につき 4 回(子 2 人が渡る → 子 1 人が戻る → 大人が渡る → 子 1 人が戻る)、最後に子ども 2 人が渡って 1 回。合計 4a + 1 回です。

ボタン操作:「+1」と「×2」のボタンで 1 から目標の数を作る最少回数は、目標から逆にたどると速く見つかります。偶数なら 2 で割り、奇数なら 1 を引く、を 1 になるまでくり返した回数が答えです(例:1 → 30 は 30 → 15 → 14 → 7 → 6 → 3 → 2 → 1 で 7 回)。

砂時計:7 分と 4 分の砂時計で 9 分を計る、などは「2 つを同時にひっくり返し、落ちきった方をすぐ返す」を表にして、差や和で目標の時間ができる瞬間を探します。7 分と 4 分を同時に始めると、4 分で小を返し、7 分で大を返す。8 分で小が落ちきる(大は返してから 1 分)。ここで大を再度返すと 1 分で落ちきり、9 分。

ここまでできれば十分

どの型でも、頭の中だけで追わずに状態を (…, …) の形で紙に書くこと、そして「1 回の操作でどこへ移れるか」だけを見ることが、いちばん速くて正確な方法です。


5. よくある間違い

間違い正しくは
天秤の問題で 2 組に分ける(半分ずつ)3 組に分ける。乗せない組が 3 つ目の結果を担う
27 枚を「3 回で 27 まで」と覚え、28 枚も 3 回と答える3ᵏ ≧ n。28 枚は 4 回
油分け算で途中の容器を満杯でも空でもない量で止める移す側が空か、移される側が満杯になるまで移す
ハノイの塔 4 枚を 2⁴ = 16 手と答える2ⁿ − 1 = 15 手
川渡りで「大人 1 人につき 2 回」と数える子どもが戻る回数を忘れない。1 人につき 4 回

6. 解き方の型

  1. 「1 回の操作で何が変わるか」を 1 行で書く(天秤なら 3 通りの結果、容器なら空か満杯まで)
  2. 状態を (…, …) の形で書き、操作ごとに次の状態を並べる。行き止まりや戻りは消す
  3. 最少回数を問われたら、両方向(正順・逆順)を試して短い方を採る
  4. 公式が使える型(3ᵏ ≧ n、2ⁿ − 1、4a + 1)は公式で出し、条件が変えられていないかを確認する

7. 小テストへ

→ 小テスト(zs-08

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参考資料

このページの小テスト ── 間違えても、同じ型の別の問題でやり直せます。レベルを選んでそのまま始められます。
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