地方上級 / 数的推理 / zs-17
確率
この単元でできるようになること
- 確率を「その場合の数 ÷ 全部の場合の数」で、分母と分子を同じ数え方でそろえて出せる
- さいころ 2 個・玉の取り出し・くじ引きの 3 つの定番を、表や順序つきの数え方で処理できる
- 「少なくとも 1 つ」を余事象(1 − 起こらない確率)で速く出せる
- 独立な試行の積の法則と、反復試行 nCr p^r (1 − p)^(n−r) を使える
- 条件付き確率・期待値の基本的な問題に手をつけられる
試験での位置づけ
確率は場合の数(zs-16)の応用で、地方上級・国家一般職とも出題されやすいテーマです。数え方は場合の数と同じですが、確率では「分母と分子で同じ数え方をする」ことがすべてです。玉を「区別しない」で分母を数えたのに、分子だけ「区別する」で数えると合わなくなります。迷ったらすべて区別して(順序つきで)数えるのが安全で、確率ではその方が同様に確からしい根元事象になります。
1. 確率の基本 ── 分母と分子を同じ数え方で
まずここだけ
確率 = その場合の数 ÷ 起こりうるすべての場合の数
「すべての場合」は、どれも同じ起こりやすさになるように数えます。同じ色の玉でも、すべて別のものとして数えるのが基本です。
大小 2 個のさいころで和が 8 になる確率。 全部 6 × 6 = 36 通り。和が 8 は (2,6)(3,5)(4,4)(5,3)(6,2) の 5 通り → 5/36
さいころ 2 個は 6 × 6 の表を頭に置きます。和が 7 のとき 6 通りで最大、7 から離れるほど 1 通りずつ減ります。
ここまでできれば十分
玉の取り出し:「同時に 2 個」は組合せで分母 nC2、分子も組合せで数えます。
赤 3 個・白 2 個から同時に 2 個。2 個とも赤の確率。 分母 5C2 = 10、分子 3C2 = 3 → 3/10 順に 1 個ずつ取ると考えても 3/5 × 2/4 = 3/10 で同じ
「同時に 2 個」と「1 個ずつ戻さずに 2 個」は、確率としては同じです。計算しやすい方で数えてください。
くじ引き:引く順番で有利・不利は変わりません。10 本中当たり 3 本を A、B の順に引くと、B が当たる確率は 3/10 × 2/9 + 7/10 × 3/9 = 6/90 + 21/90 = 27/90 = 3/10(A と同じ)。「A がはずれて B が当たる」なら 7/10 × 3/9 = 7/30 です。
2. 余事象 ── 「少なくとも」は引き算
まずここだけ
P(A) = 1 − P(A が起こらない)
「少なくとも 1 つ」「1 つ以上」と書かれていたら、まず余事象を考えます。
さいころ 2 個で少なくとも 1 個が 5 以上の目。 「2 個とも 4 以下」= (4/6)² = 16/36 → 1 − 16/36 = 20/36 = 5/9
赤 3 個・白 2 個から 2 個。少なくとも 1 個が赤。 「2 個とも白」= 2C2 / 5C2 = 1/10 → 9/10
ここまでできれば十分
「色が異なる」は「同じ色」の余事象、「あいこ」は「勝負がつく」の余事象で数えると速くなります。
3 人でじゃんけんを 1 回してあいこになる確率。 全部 3³ = 27 通り。勝負がつく = 出た手が 2 種類 = どの 2 種類か 3 通り × (2³ − 2) = 18 通り → あいこ = 1 − 18/27 = 1/3
3. 独立な試行と反復試行
まずここだけ
さいころを続けて投げる・コインを続けて投げるなど、前の結果が次に影響しない試行を独立といいます。独立なら確率は掛け算です。
A が的に当てる確率 3/4、B が 2/3。2 人とも当てる確率 = 3/4 × 2/3 = 1/2 少なくとも一方が当てる確率 = 1 − (1/4)(1/3) = 11/12
ここまでできれば十分
反復試行:同じ試行を n 回くり返して、確率 p の事象がちょうど r 回起こる確率は
nCr × p^r × (1 − p)^(n − r)
「どの r 回で起こるか」の選び方 nCr を掛け忘れないでください。
コインを 4 回投げて表がちょうど 2 回:4C2 × (1/2)² × (1/2)² = 6/16 = 3/8 さいころを 3 回投げて 3 の倍数の目がちょうど 1 回:3C1 × (1/3)¹ × (2/3)² = 3 × 4/27 = 4/9
もう一歩(発展)
「r 回以上」は r 回、r + 1 回、… を足すか、余事象で「r − 1 回以下」を引きます。n が小さければ全部足した方が確実です。
4. 条件付き確率と期待値
まずここだけ
条件付き確率:「B が起こったとわかったとき、A である確率」は
P(A | B) = P(A かつ B) ÷ P(B)
分母が「全体」から「B が起こった場合」に変わるだけです。
ある製品は工場 A で 60%、工場 B で 40% 作られ、不良品の割合は A が 2%、B が 5%。取り出した 1 個が不良品だったとき、A 製である確率。 P(A かつ不良) = 0.6 × 0.02 = 0.012、P(B かつ不良) = 0.4 × 0.05 = 0.020 P(A | 不良) = 0.012 ÷ (0.012 + 0.020) = 12/32 = 3/8
1,000 個作ったとして「A 製の不良 12 個、B 製の不良 20 個」と個数で表にすると、分数を扱わずに済みます。
ここまでできれば十分
期待値:値 × 確率 をすべて足したものです。
100 本のくじに 1 等 5,000 円が 1 本、2 等 500 円が 4 本、ほかははずれ。1 本引くときの賞金の期待値。 (5,000 × 1 + 500 × 4 + 0 × 95) ÷ 100 = 7,000 ÷ 100 = 70 円
賞金の合計 ÷ 本数、と覚えると速く出せます。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 分母は玉を区別せず、分子は区別して数える | 分母・分子とも同じ数え方。迷ったら全部区別 |
| さいころ 2 個の「和が 8」を (2,6)(3,5)(4,4) の 3 通り | 大小を区別して 5 通り((4,4) は 1 通り) |
| 「少なくとも 1 つ」を場合分けして足し、漏れる | 1 − 「1 つもない」 |
| 反復試行で nCr を掛け忘れる | 「どの回で起こるか」の選び方を掛ける |
| くじは先に引く方が有利だと思う | 順番に関係なく当たる確率は同じ |
| 条件付き確率で分母を全体のままにする | 分母は「条件が起こった場合」の確率 |
6. 解き方の型
- 「すべての場合」を、どれも同じ起こりやすさになるように数える(玉・さいころは区別)
- 分子を同じ数え方で数える。「同時に」は組合せ、「順に」は順列や積
- 「少なくとも」「異なる」「あいこ」は余事象
- くり返しなら独立か確かめて、掛け算 + 反復試行の nCr
- 「〜だったとき」は条件付き確率。個数の表にして分母を条件の側に取り直す
- 答えは約分して、0 と 1 の間にあることを確かめる
7. 小テストへ
→ 小テスト(zs-17)
関連する単元
- 前提:zs-16 場合の数・m2-14 確率(中学数学)
- 高校での対応:ha-03 確率(基本・余事象・独立試行・反復試行)・ha-04 条件付き確率・期待値
- 同じ考え方を使う:zs-22 資料解釈の実数と割合(割合の読み方)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 高等学校 数学 A の教科書(場合の数と確率)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-17/ / 更新 2026-09-14