地方上級 / 数的推理 / zs-14
速さ(旅人算・通過算・流水算・時計算)
この単元でできるようになること
- 「速さ × 時間 = 距離」の 1 本の式を、単位(時速・分速・秒速、km・m)をそろえてから立てられる
- 旅人算を「1 分に何 m 近づくか」(速さの和・差)で解ける
- 通過算を「先頭が進む距離 = 列車の長さ + 橋の長さ」と読みかえて解ける
- 流水算を「上り = 静水 − 流速、下り = 静水 + 流速」の 2 本から静水時の速さと流速を取り出せる
- 時計算を「長針は 1 分に 6°、短針は 0.5°、差は 5.5° ずつ縮まる」で解ける
試験での位置づけ
速さは数的推理の中でも出題されやすいテーマで、地方上級・国家一般職とも、旅人算か流水算か通過算のどれかが 1 問入ることがよくあります。計算そのものは中学の範囲ですが、「何と何が等しいか」を見つける読み取りで差がつきます。zs-13 の割合・比と組み合わせて「速さの比 → 時間の比は逆比」の形で出ることも多いので、比の感覚も一緒に使えるようにしておくと処理が速くなります。
1. 基本の式と単位そろえ
まずここだけ
距離 = 速さ × 時間 速さ = 距離 ÷ 時間 時間 = 距離 ÷ 速さ
計算を始める前に、単位をそろえるのが最初の仕事です。
- 時速 km → 秒速 m:÷ 3.6(時速 72 km = 72,000 m ÷ 3,600 秒 = 秒速 20 m)
- 秒速 m → 時速 km:× 3.6
- 時速 km → 分速 m:× 1,000 ÷ 60(時速 6 km = 分速 100 m)
「時速 4 km で 45 分歩く」なら、45 分 = 3/4 時間 として 4 × 3/4 = 3 km。時間を分のまま掛けないように気をつけます。
ここまでできれば十分
往復の平均の速さは、速さをたして 2 で割ってはいけません。
行き時速 4 km、帰り時速 6 km で片道 12 km を往復。 行き 3 時間、帰り 2 時間、合計 5 時間で 24 km → 平均 = 24 ÷ 5 = 時速 4.8 km(5 km ではない)
一般には 2ab/(a + b) になります(距離は消えるので、距離が書かれていなくても求まります)。
速さの比と時間の比は逆比:同じ距離を進むとき、速さが 3 : 2 なら時間は 2 : 3。「予定より 10 分遅れた/早く着いた」という問題は、この逆比か、「距離が同じ」ことを式にして解きます。
家から駅まで、分速 60 m で歩くと発車の 5 分後に着き、分速 100 m で走ると発車の 3 分前に着く。距離は? 時間の差は 8 分。距離を x m とすると x/60 − x/100 = 8 → x(5 − 3)/300 = 8 → x = 1,200 m
2. 旅人算 ── 速さの和と差
まずここだけ
2 人が動くときは、1 人ずつ追わず、2 人の間の距離が 1 分にどれだけ変わるかだけを見ます。
- 向かい合って進む(出会い):1 分に 速さの和 だけ近づく → 出会うまでの時間 = 距離 ÷ (和)
- 同じ向きに進む(追いつき):1 分に 速さの差 だけ近づく → 追いつくまでの時間 = 距離 ÷ (差)
1,200 m 離れた A(分速 80 m)と B(分速 70 m)が向かい合って出発。 1 分に 150 m 近づく → 1,200 ÷ 150 = 8 分後に出会う
弟(分速 60 m)が出発して 12 分後に兄(分速 240 m)が追いかける。 兄が出た時点の差 = 60 × 12 = 720 m。1 分に 180 m 縮む → 720 ÷ 180 = 4 分後、家から 240 × 4 = 960 m の地点
ここまでできれば十分
池のまわり(円周)を回る問題は、出発点が同じなら「反対向き → 1 周分の距離を速さの和で」「同じ向き → 1 周分の差がつくまでを速さの差で」と読みかえます。
周囲 1,800 m の池を A と B が同地点から出発。反対向きなら 12 分ごとに出会い、同じ向きなら 60 分ごとに A が B を追い抜く。 速さの和 = 1,800 ÷ 12 = 150、速さの差 = 1,800 ÷ 60 = 30 → A = (150 + 30) ÷ 2 = 分速 90 m、B = 60 m
「和と差がわかれば 2 つの数が出る」(和差算)は、この単元の中で何度も使います。
もう一歩(発展)
2 人が向かい合って出発し、出会ったあとも進み続けてそれぞれの目的地で折り返し、2 回目に出会う問題は、「1 回目の出会いまでに 2 人合わせて片道 1 本分の距離、2 回目までに片道 3 本分」と数えます。1 回目までの時間の 3 倍が 2 回目の時刻です。図をかいて「2 人合わせて何 m 進んだか」を追うのが確実です。
3. 通過算 ── 列車には長さがある
まずここだけ
列車が橋やトンネルを「通過する」とき、先頭が入ってから最後尾が出るまでに先頭が進む距離は
橋の長さ + 列車の長さ
です。電柱や人の前を通り過ぎるときは「列車の長さ」だけ進みます。
長さ 120 m の列車が秒速 20 m で長さ 480 m の鉄橋を渡る。 (480 + 120) ÷ 20 = 30 秒
ここまでできれば十分
2 本の列車のすれ違い・追い越しは、旅人算と同じで、進む距離が「2 本の長さの和」になります。
- すれ違い(向かい合う):(長さの和) ÷ (速さの和)
- 追い越し(同じ向き):(長さの和) ÷ (速さの差)
橋とトンネルの 2 つの情報から列車の長さを出す問題は、差をとります。
鉄橋 300 m を 21 秒、トンネル 780 m を 45 秒で通過する列車。 長さの差 480 m を 24 秒で進む → 秒速 20 m。鉄橋の式 20 × 21 = 420 = 300 + 列車 → 列車 = 120 m
4. 流水算 ── 上りと下りの 2 本の式
まずここだけ
川の流れの速さを「流速」、流れがないときの船の速さを「静水時の速さ」と呼びます。
下りの速さ = 静水時 + 流速 上りの速さ = 静水時 − 流速
逆にすると
静水時 = (下り + 上り) ÷ 2 流速 = (下り − 上り) ÷ 2
24 km を上るのに 3 時間、下るのに 2 時間。 上り = 8 km/時、下り = 12 km/時 → 静水時 = 10 km/時、流速 = 2 km/時
ここまでできれば十分
「静水時の速さを 2 倍にしたら」「途中でエンジンが止まって流された」という条件がつくと、上り・下りの速さをその場面ごとに作り直すだけです。エンジンが止まっている間は、船は流速でそのまま下流へ流されます。
12 km を下るのに 2 時間、上るのに 3 時間かかる船が、静水時の速さを 2 倍にして上ると何分かかるか。 下り 6、上り 4 → 静水時 5、流速 1。2 倍なら静水時 10、上り = 9 km/時 → 12 ÷ 9 = 4/3 時間 = 80 分
5. 時計算 ── 針の速さは 6° と 0.5°
まずここだけ
- 長針:60 分で 360° → 1 分に 6°
- 短針:12 時間で 360° → 1 時間に 30°、1 分に 0.5°
- 差は 1 分に 5.5° ずつ変わる
「h 時ちょうど」の 2 本の針の角度は 30 × h 度(短針が先)。ここから長針が 5.5°/分 で追いつくと考えます。
3 時と 4 時の間で針が重なる時刻。 3 時の差 = 90°。90 ÷ 5.5 = 180/11 = 16 と 4/11 分 → 3 時 16 と 4/11 分
答えが分数になるのがこの単元の特徴です。5.5 で割る計算は、÷ 5.5 = × 2/11 と覚えると速くなります。
ここまでできれば十分
「一直線になる(180°)」「直角になる(90°)」は、目標の角度の差を作ります。
- h 時ちょうどの差 30h° が 180° より小さい(h = 1〜5):長針が追いついて、さらに 180° 先に出る → (30h + 180) ÷ 5.5 分
- 差が 180° より大きい(h = 7〜11):差が 180° に縮まる → (30h − 180) ÷ 5.5 分
8 時と 9 時の間で最初に一直線になるのは? 8 時の差 240°。(240 − 180) ÷ 5.5 = 60 × 2/11 = 120/11 分(8 時 10 と 10/11 分)
6. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 往復の平均を (4 + 6) ÷ 2 = 5 | 総距離 ÷ 総時間。2ab/(a + b) = 4.8 |
| 時速 4 km で 45 分 → 4 × 45 | 45 分 = 3/4 時間。4 × 3/4 = 3 km |
| 橋を渡る距離を橋の長さだけにする | 橋 + 列車の長さ |
| 流速を「下り − 上り」にする | (下り − 上り) ÷ 2 |
| 時計の差を 6°/分 で割る | 短針も動くので 5.5°/分 |
| 8 時台の一直線を (240 + 180) ÷ 5.5 | 差が 180° より大きいときは (240 − 180) ÷ 5.5 |
7. 解き方の型
- 単位をそろえる(km と m、時と分と秒)。時速 km ⇄ 秒速 m は 3.6
- 「等しい量」に線を引く(同じ距離・同じ時間・出会う瞬間の距離の和)
- 2 人以上なら「1 分に何 m 近づくか」(和か差)だけを見る
- 通過算は「橋 + 列車」、流水算は「上り・下りの 2 本」、時計算は「30h° を 5.5°/分 で」
- 答えが出たら、逆に時間 × 速さで距離に戻して検算する
8. 小テストへ
→ 小テスト(zs-14)
関連する単元
- 前提:m1-09 一次方程式の利用(中学数学)・zs-13 割合・比・濃度(比の逆比)
- 次に進む:zs-15 仕事算・ニュートン算(「1 あたり」で考える点が同じ)・zs-12 方程式と不等式の文章題
- 同じ考え方を使う:m2-08 一次関数の利用(ダイヤグラム)
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 中学校数学の教科書(一次方程式の利用・速さ)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-14/ / 更新 2026-09-14