地方上級 / 時事 / zk-10

更新 2026-09-20

時事②経済・財政・金融(予算・統計・日本銀行・税制)

この単元の数値は 2026 年 9 月時点のものです。予算額・政策金利・統計値は改定や新しい決定で変わります。最新は本文の「参考資料」に挙げた一次資料(財務省・日本銀行・総務省統計局・内閣府・厚生労働省)で確認してください。

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

教養試験の社会事情(時事)で経済分野は 2〜3 題ほどが目安で、「2025 年の日本経済に関する記述として妥当なものはどれか」「数値の組み合わせとして正しいもの」の形が中心です。専門試験の財政学(zf-01〜03)・経済事情でも、予算の数字と日本銀行の政策は同じ知識で解けます。論文でも「物価高」「賃上げ」「財政」の現状として使えます。

出題の型は、数字のすり替え(税収 83.7 兆円を 73.7 兆円に、政策金利 1.25% を 1.5% に)、向きの反転(実質賃金の「減少」を「増加」に、国債買入れの「減額」を「増額」に)、時期のずらし(マイナス金利解除を 2025 年に)の 3 つです。


1. 2026 年度一般会計予算

まずここだけ

2026 年度(令和 8 年度)予算は 2025 年 12 月 26 日に政府案が閣議決定され、2026 年 4 月 7 日に成立しました(衆議院の解散・総選挙のため年度内に間に合わず、4 月 1〜11 日は暫定予算。経緯は zk-09)。

項目2026 年度当初2025 年度当初
歳出総額122 兆 3,092 億円(過去最大)115 兆 1,978 億円
社会保障関係費39 兆 559 億円38 兆 2,938 億円
国債費31 兆 2,758 億円(うち利払費 13 兆 371 億円)28 兆 2,179 億円
地方交付税交付金等20 兆 8,778 億円18 兆 8,728 億円
防衛力整備計画対象経費8 兆 8,093 億円8 兆 4,748 億円
税収83 兆 7,350 億円(過去最高の見込み)77 兆 8,190 億円
公債金(新規国債発行)29 兆 5,840 億円(建設 6 兆 7,160 億・特例 22 兆 8,680 億)28 兆 6,471 億円
公債依存度24.2%24.9%

(財務省「令和 8 年度予算のポイント」「令和 8 年度予算フレーム」による)

歳出の順番は「社会保障(約 39 兆)> 国債費(約 31 兆)> 地方交付税等(約 21 兆)」です。国債費が 3 兆円以上増えたのは、金利の上昇で利払費が 10.5 兆円から 13.0 兆円に増えたためです。

ここまでできれば十分

財務省が挙げる 2026 年度予算の特徴:

骨太の方針 2026(経済財政運営と改革の基本方針 2026、2026 年 7 月 21 日閣議決定)は、財政運営の目標を「債務残高対 GDP 比の安定的な低下」を中核とするものに改め、2027 年度を「責任ある積極財政元年」と位置づけました(従来の「PB 黒字化の年度目標」は前面に出ていません。詳しくは zx-02)。

出題の型:「新規国債発行は 30 兆円を超えた」「は前年より上がった」「歳出の最大項目は国債費」が誤り。


2. 2025 年度の補正予算と税収の実績

まずここだけ

2025 年度補正予算(2025 年 11 月 28 日閣議決定、12 月 16 日成立):一般会計の歳出追加 18 兆 3,034 億円。柱は「生活の安全保障・物価高への対応」8 兆 9,041 億円、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」6 兆 4,330 億円、「防衛力と外交力の強化」1 兆 6,560 億円など(経済対策関係経費 17 兆 7,028 億円)。財源は税収の上振れ(2 兆 8,790 億円)、前年度剰余金(2 兆 7,129 億円)に加えて公債金 11 兆 6,960 億円(建設 3 兆 5,390 億・特例 8 兆 1,570 億)で、6 割以上を国債で賄いました

2025 年度の税収の決算(概数)84 兆 2,226 億円で、2024 年度の 75 兆 2,321 億円を約 9 兆円上回り、6 年連続で過去最高になりました(財務省、2026 年 7 月 3 日公表)。税目別では消費税 26 兆 278 億円 > 所得税 25 兆 2,565 億円 > 法人税 21 兆 7,450 億円で、消費税が最大の税目です。

ここまでできれば十分

補正予算は「年度の途中で当初予算を変える」もので、近年は毎年秋〜冬に大型の経済対策を裏づける形で組まれます。当初予算で国債発行を抑えても、補正で上積みされる点が財政規律の論点です(zf-03)。

出題の型:「補正予算の財源はすべて税収の上振れで賄った」「2025 年度の税収は所得税が最大」「税収は 4 年ぶりに減少した」が誤り。


3. 税制改正 ── 「年収の壁」から防衛増税まで

まずここだけ

2025 年度税制改正(2025 年 12 月 1 日施行、2025 年分の所得税から適用):いわゆる「年収 103 万円の壁」の見直し。

2026 年度税制改正の大綱(2025 年 12 月 26 日閣議決定)の要点:

項目内容
物価連動の仕組み基礎控除の本則と給与所得控除の最低保障額を、直近 2 年の消費者物価(総合)の上昇率で見直す仕組みを創設。基礎控除 58 → 62 万円、給与所得控除の最低保障 65 → 69 万円(2026 年分から)
課税最低限 178 万円2026・2027 年分は特例の上乗せで、所得税の課税最低限を 178 万円まで先取りして引き上げ
防衛特別法人税2026 年 4 月施行(防衛力強化の財源)
防衛特別所得税(仮称)基準所得税額の 1%2027 年(令和 9 年)1 月から。同時に復興特別所得税の税率を 2.1% → 1.1% に下げ、課税期間を 2037 年から 2047 年まで延長
たばこ税2026 年 4 月から見直し(防衛財源)
自動車関係税自動車税・軽自動車税の環境性能割を 2026 年 3 月 31 日で廃止軽油引取税の当分の間税率を 2026 年 4 月 1 日に廃止
国際観光旅客税出国 1 回 1,000 円 → 3,000 円に引上げ
NISA口座開設できる年齢の下限を撤廃し、2027 年以降、未成年者向けの勘定(年 60 万円まで、公募等株式投資信託に限る)を設ける
法人課税大胆な設備投資を促す税制措置の創設、賃上げ促進税制の見直し、研究開発税制の強化

ここまでできれば十分

ガソリンの暫定税率の廃止:2025 年 11 月 28 日に法律が成立し、2025 年 12 月 31 日に揮発油税・地方揮発油税の特例税率(暫定税率)が廃止されました。税率は 1 リットルあたり 53.8 円 → 28.7 円(25.1 円の引下げ)です(国税庁)。1974 年に道路財源として導入され、2009 年に一般財源化した後も残っていた上乗せ分がなくなりました。軽油引取税の暫定税率は 2026 年 4 月 1 日に廃止。

出題の型:「防衛特別所得税は 2026 年 1 月から」「復興特別所得税は廃止された」「ガソリン税の暫定税率は 2026 年 4 月に廃止」「は 123 万円から 178 万円に一度に引き上げられた」が誤り。


4. 日本銀行の金融政策

まずここだけ

政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)の道筋を、決定した会合の年月と水準で押さえます。

決定会合決定
2024 年 3 月マイナス金利政策を解除(0〜0.1% 程度)。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)も終了
2024 年 7 月0.25% 程度に引上げ。長期国債の買入れ減額計画を決定
2025 年 1 月 24 日0.5% 程度に引上げ
2025 年 12 月 19 日0.75% 程度に引上げ(全員一致)
2026 年 6 月 16 日1.0% 程度に引上げ(賛成 7・反対 1)
2026 年 9 月 18 日1.25% 程度に引上げ(賛成 7・反対 2)。補完当座預金制度の適用利率 1.25%、基準貸付利率 1.5%

(日本銀行「金融市場調節方針の変更について」各回)

2026 年 9 月時点の政策金利は 1.25% 程度で、1990 年代半ば以来の水準です。日本銀行は景気について「中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」と判断しています(2026 年 9 月)。

ここまでできれば十分

長期国債の買入れ減額:日本銀行は 2024 年 7 月に減額計画を決め、2025 年 6 月の会合で「2026 年 3 月までは原則として四半期ごとに 4,000 億円ずつ、2026 年 4 月〜2027 年 3 月は四半期ごとに 2,000 億円ずつ減額」と決めました。2026 年 6 月の会合では、2027 年 4 月以降は月 2 兆円程度の買入れを行うこと、長期金利が急に上がる場合は機動的に買入れの増額や指値オペを行うことを決めました。

「利上げ」と「国債買入れの減額(量的引締め)」の 2 本立てで、2013 年以来の大規模緩和から出口に向かっている、という全体像で押さえてください(zk-05za-04)。

出題の型:「2025 年 1 月にマイナス金利を解除した」「2026 年 9 月の政策金利は 1.0%」「日本銀行は国債買入れを増額している」が誤り。


5. 物価・賃金・最低賃金

まずここだけ

指標2025 年の値出典
消費者物価指数(総合)前年比 +3.2%(生鮮食品を除く総合 +3.1%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合 +3.0%)総務省統計局(2026 年 1 月公表)
名目賃金(現金給与総額、事業所規模 5 人以上)前年比 +2.3%厚生労働省 毎月勤労統計(2025 年分確報)
実質賃金(同)前年比 −1.3%(持家の帰属家賃を除く総合で実質化)。2022 年から 4 年連続の減少同上
春闘の賃上げ率(連合の最終集計)2025 年 5.25%、2026 年 5.01%(3 年連続で 5% 台)。厚生労働省の「民間主要企業」集計では 2025 年 5.52%・2026 年 5.18%(zw-01連合
最低賃金(地域別、全国加重平均)2025 年度 1,121 円(+66 円、+6.3%。引上げ額は過去最大。全都道府県で 1,000 円以上に)厚生労働省

2026 年度の最低賃金は、2026 年 7 月 28 日の中央最低賃金審議会の目安が A ランク 54 円・B・C ランク 56 円で、目安どおりなら全国加重平均 1,176 円(+55 円、+4.9%)です。都道府県ごとの決定額は 10 月以降に順次発効するので、最新は厚生労働省で確認してください。

ここまでできれば十分

名目は上がっているのに実質は下がるのは、物価上昇率(3% 台)が名目賃金の伸び(2% 台)を上回っているためです。春闘の 5% 台は定期昇給を含む数字で、ベースアップ(賃上げ分)は 3.5% 前後です(2026 年、連合)。

コメの価格:2025 年はコメの価格の急上昇が問題になり、政府は 2025 年 3 月から政府備蓄米を入札で売り渡したのに続き、2025 年 5 月、随意契約による備蓄米 30 万トンの売渡し(大手小売業者向け、店頭で 5 kg 2,000 円程度を目標)に踏み切りました(農林水産省)。

出題の型:「2025 年の実質賃金はプラスに転じた」「最低賃金は 2025 年度に初めて全国加重平均で 1,000 円を超えた」(正しくは、全国加重平均は 2024 年度にすでに 1,055 円。2025 年度は全都道府県が 1,000 円以上になった年度)、「消費者物価の上昇率は 2% を下回った」が誤り。


6. 経済成長率・貿易・為替・株価

まずここだけ

2025 年(暦年)の GDP(内閣府、2026 年 4〜6 月期 2 次速報〈2026 年 9 月 8 日公表〉時点):実質 GDP 成長率 +1.2%(2024 年は +0.1%)、名目 GDP は 約 666 兆円(前年比 +4.6%)で過去最高です。名目が実質より大きく伸びているのは物価上昇のためです(zk-06)。GDP は速報のたびに改定されます(2026 年 3 月の速報では 2024 年 −0.2%・名目 +4.7%だった)。試験では「2025 年はプラス成長・名目は 600 兆円台後半」の向きと桁で押さえます(年度の数値は zx-02)。

米国の関税措置と日米合意:2025 年 4 月に米国が「相互関税」などの関税措置を打ち出し、日本は 4 月から 8 回の協議を経て 2025 年 7 月 22 日(米国時間)に合意しました。

(内閣官房「日米間の合意(概要)」2025 年 7 月 25 日)

ここまでできれば十分

株価:日経平均株価は 2025 年 10 月 27 日に終値で初めて 5 万円を超え(50,512 円 32 銭)、2026 年 4 月 27 日に初めて 6 万円を超えました(60,537 円 36 銭。半導体・AI 関連株がけん引)。半年での大台替わりは過去最速です(報道による。日々の株価は変わるので、水準より「5 万円・6 万円の節目を超えた年月」を押さえる)。

IMF の世界経済見通し(2026 年 7 月改定):世界の成長率は 2025 年 3.5% → 2026 年 3.0% → 2027 年 3.4%。中東の戦争が下押しする一方、AI をめぐる技術需要が押し上げるとしています。日本は 2025 年 1.1% → 2026 年 0.6% → 2027 年 0.7%、米国 2.3% → 2.2%、ユーロ圏 0.9% → 1.2%、中国 4.6% → 4.1%(2026 → 2027 年)。

出題の型:「2025 年の実質 GDP は 2 年連続のマイナス成長」「日米合意で日本は農産品の関税を引き下げた」「は 25% で決着した」「IMF は 2026 年の世界の成長率を 2025 年より高いと見込む」が誤り。


7. 年金改正と社会保険の適用拡大

まずここだけ

2025 年の年金制度改正法(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」、2025 年 6 月 13 日成立)の要点:

項目内容
在職老齢年金の見直し働きながら厚生年金を受ける人の年金が支給停止になる基準額(賃金と年金の月額の合計)を 月 50 万円 → 62 万円(2024 年度価格)に引上げ。2026 年 4 月施行。実際の額は賃金水準で毎年度改定され、2026 年度の実額は 51 万円 → 65 万円(日本年金機構)
被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大短時間労働者の賃金要件(月 8.8 万円=いわゆる「106 万円の壁」)を撤廃(公布から 3 年以内で、全国の最低賃金が 1,016 円以上になったことを見極めて実施)。企業規模要件(51 人以上)を 10 年かけて段階的に縮小・撤廃。常時 5 人以上を使う個人事業所は全業種を対象に(2029 年 10 月。既存の事業所は当分の間対象外)
基礎年金の給付水準次の財政検証(2029 年)で基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を同時に終了させる法制上の措置をとる

ここまでできれば十分

「106 万円の壁」(社会保険)と「103 万円の壁」(所得税、第 3 節)は別の制度です。前者は厚生労働省・年金制度改正法、後者は財務省・税制改正の話で、混ぜた選択肢が作られやすいところです。

出題の型:「在職老齢年金の基準額は 50 万円に引き下げられた」「賃金要件の撤廃は 2025 年 6 月に即日実施された」「106 万円の壁は 2025 年度税制改正で見直された」が誤り。


8. よくある間違い

間違い正しくは
2026 年度予算の歳出総額は 115 兆円122 兆 3,092 億円(115.2 兆円は 2025 年度当初)
2026 年度予算の新規国債発行は 30 兆円超29 兆 5,840 億円で 2 年連続 30 兆円未満
2025 年度の税収は所得税が最大消費税(26.0 兆円)> 所得税(25.3 兆円)> 法人税(21.7 兆円)
所得税の防衛増税は 2026 年 4 月から防衛特別法人税が 2026 年 4 月、防衛特別所得税は 2027 年 1 月から
ガソリンの暫定税率は 2026 年 4 月廃止2025 年 12 月 31 日廃止(2026 年 4 月 1 日は軽油
マイナス金利の解除は 2025 年 1 月2024 年 3 月。2025 年 1 月は 0.5% への引上げ
2026 年 9 月の政策金利は 1.0%1.25% 程度(2026 年 9 月 18 日に引上げ)
日本銀行は国債の買入れを増やしている減額(2027 年 4 月以降は月 2 兆円程度)
2025 年の実質賃金はプラス−1.3%、4 年連続の減少(名目は +2.3%)
2025 年度の最低賃金の全国加重平均は 1,055 円1,121 円(1,055 円は 2024 年度)
日米合意で相互関税は 25% に決まった15%(MFN 税率を含む)
在職老齢年金の基準額は 62 万円から 50 万円へ50 万円 → 62 万円(引上げ。2026 年度の実額は 51 万円 → 65 万円)

9. 覚え方の型

  1. 予算は「122・84・30・24」:歳出 122 兆、税収 84 兆(83.7)、国債 30 兆弱(29.6)、公債依存度 24% 台。歳出の順は社会保障 > 国債費 > 地方交付税
  2. 日本銀行は「解除 → 0.25 → 0.5 → 0.75 → 1.0 → 1.25」を年月つきで(24 年 3 月・24 年 7 月・25 年 1 月・25 年 12 月・26 年 6 月・26 年 9 月)
  3. 2025 年の指標は「物価 3.2・名目賃金 2.3・実質賃金 −1.3・春闘 5.25・最低賃金 1,121・実質 GDP 1.2
  4. 税は「法人税は 26 年 4 月、所得税は 27 年 1 月」「ガソリンは 25 年末、軽油は 26 年 4 月」とペアで
  5. 「106 万円の壁」は社会保険(年金改正法)、「103 万円の壁」は所得税(税制改正)

10. 小テストへ

→ 小テスト(zk-10

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参考資料

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