地方上級 / 経済事情 / zx-02

更新 2026-09-20

日本経済と世界経済の現状(GDP・物価・雇用・金融政策・貿易・白書の数値)

この単元でできるようになること

試験での位置づけ

経済事情は、教養の時事(zk-10zk-12)と専門の経済(za-01 の GDP 統計、za-04 の金融政策、za-08 の国際マクロ、zf-01 の予算)をつなぐ単元です。出題は「直近の数値の大小・方向」(名目 GDP は 600 兆円台か 500 兆円台か、経常収支は黒字か赤字か、貿易収支はどちらか)と「政策の順番」(マイナス金利解除はいつか、利上げは何回か)が中心で、5 肢のうち数字の桁や符号、年を 1 つずらした肢が並びます。数値は毎月更新されるので、本文は 2026 年 9 月時点で確認できた値を「(年、出典)」つきで書き、変わりやすいものには「最新は一次資料で確認」を添えています。経済学説史・戦後日本経済史は zx-01 です。


1. 日本の GDP と成長率

まずここだけ

指標直近値出典
名目 GDP672 兆 6,695 億円(2025 年度、5 年連続で過去最高)。暦年 2025 年は 666 兆 4,407 億円(いずれも 2026 年 9 月 8 日公表の 2 次速報時点。速報のたびに改定される)内閣府「四半期別 GDP 速報」
実質 GDP 成長率2025 年度 +0.9%(2026 年 9 月の 2 次速報)。暦年 2025 年 +1.2%、2024 年度 +0.7%同上
名目成長率2025 年度 +4.3%同上
GDP デフレーター名目 4.3% − 実質 0.9% ≒ 3%台の上昇(物価上昇が名目を押し上げている)同上から計算
潜在成長率0%台半ばから後半」(日本銀行「展望レポート」2026 年 7 月)日本銀行
2026 年度の見通し実質 +0.6%(日銀政策委員の中央値)/IMF は 2026 年 +0.6%・2027 年 +0.7%日本銀行、IMF

名目 GDP が「600 兆円台」に乗ったのは 2023 年度で、その後も物価上昇で名目は伸び続けています。実質は 0〜1%台の低成長が続き、「名目は過去最高、実質は横ばいに近い」が読み方の基本です。GDP の定義・三面等価・デフレーターの式は zk-06za-01

ここまでできれば十分

出題の型:「名目 GDP は 500 兆円台」(600 兆円台後半)、「2025 年度の実質成長率はマイナス」(+0.9%)、「実質成長率が名目を上回った」(物価上昇で名目が上)、「潜在成長率は 2%程度」(0%台半ばから後半)のように、桁・符号・大小を 1 つずらす形です。

もう一歩(発展)


2. 物価と日本銀行の金融政策

まずここだけ

消費者物価指数(CPI、2020 年=100、年平均前年比)(総務省統計局)

総合生鮮食品を除く総合(コア生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア
2023 年+3.2%+3.1%+4.0%
2024 年+2.7%+2.5%+2.4%
2025 年+3.2%+3.1%+3.0%

日銀が目標にするのは「消費者物価の前年比 2%」(2013 年 1 月の政府・日銀の共同声明)で、コア CPI は 2022 年から 4 年連続で 2%を超えています。2025 年は食料(コメなど)の値上がりで総合が再び 3%台に戻り、2026 年は政府のガソリン暫定税率廃止(2025 年 12 月)や教育無償化の効果で押し下げられる一方、中東情勢によるエネルギー価格上昇が押し上げる、という綱引きです(日本銀行「展望レポート」2026 年 7 月)。

ここまでできれば十分

日銀の政策金利(無担保コールレート翌日物の誘導目標)の歩み

時期決定
2016 年 1 月〜マイナス金利政策(−0.1%)+長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、2016 年 9 月〜)
2024 年 3 月マイナス金利を解除(0〜0.1%)。イールドカーブ・コントロールと ETF 買入れも終了。17 年ぶりの利上げ
2024 年 7 月0.25%程度へ。国債買入れの減額計画(量的引締め)を決定
2025 年 1 月0.5%程度へ(2008 年以来の水準)
2025 年 12 月0.75%程度へ(1995 年以来約 30 年ぶりの水準)
2026 年 6 月1.0%程度へ(日本銀行「金融市場調節方針の変更について」2026 年 6 月 16 日)
2026 年 9 月1.25%程度へ(同 2026 年 9 月 18 日。賛成 7・反対 2)

2026 年 9 月時点の政策金利は 1.25%程度(9 月 18 日決定)。「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ緩和の度合いを調整する」が日銀の基本方針です(最新は日本銀行の公表で確認)。

日銀の見通し(2026 年 7 月展望レポート、政策委員の中央値):実質 GDP 2026 年度 +0.6%・2027 年度 +0.8%、コア CPI 2026 年度 +2.5%・2027 年度 +2.4%・2028 年度 +2.0%。

出題の型:「マイナス金利解除は 2023 年」(2024 年 3 月)、「2025 年 1 月に 1%へ」(0.5%。1%は 2026 年 6 月、1.25%は 2026 年 9 月)、「日銀の目標は 3%」(2%)、「2024 年のコア CPI は 2%を下回った」(+2.5%)、「コアコアは生鮮食品だけを除く」(生鮮食品とエネルギーを除く)。

もう一歩(発展)


3. 雇用・国際収支・為替

まずここだけ

指標直近値出典
完全失業率2.5%(2025 年平均、前年と同率)。完全失業者 176 万人、就業者 6,828 万人(5 年連続増)総務省統計局「労働力調査」
有効求人倍率1.22 倍(2025 年平均、2 年連続の低下)厚生労働省「一般職業紹介状況」
経常収支31 兆 8,799 億円の黒字(2025 年、2 年連続で過去最大)財務省「国際収支状況(速報)」
 第一次所得収支41 兆 5,903 億円の黒字(過去最大。海外子会社からの配当・利子)同上
 貿易収支8,487 億円の赤字(2024 年の 3 兆 6,602 億円の赤字から縮小)同上
 サービス収支3 兆 3,928 億円の赤字(デジタル関連の支払いが拡大)同上
対外純資産561 兆 7,504 億円(2025 年末、前年比 +4.4%、8 年連続の増加)財務省「本邦対外資産負債残高」
対外純資産の順位2024 年末にドイツに抜かれ 2 位、2025 年末は中国にも抜かれ 3 位(ドイツ 675 兆円・中国 636 兆円。33 年間続いた 1 位は 2023 年末まで)同上
為替(ドル円)2024 年 7 月に一時 161 円台(1986 年以来の円安)。年末の東京市場終値は 2024 年末 157.89 円・2025 年末 155.98 円(財務省)。2026 年 6 月 30 日に一時 162 円台(日本銀行「外国為替市況」)、9 月中旬は 155〜156 円前後(最新は一次資料で確認)財務省・日本銀行

ここまでできれば十分

出題の型:「経常収支は赤字」(過去最大の黒字)、「貿易収支が経常黒字の中心」(第一次所得収支)、「対外純資産は世界 1 位」(3 位)、「失業率は 4%台」(2.5%)、「有効求人倍率は 1 倍を割った」(1.22 倍)。

もう一歩(発展)


4. 国の財政 ── 2026 年度予算と財政目標

まずここだけ

2026(令和 8)年度一般会計予算(2026 年 4 月成立、財務省「令和 8 年度予算のポイント」)

項目金額
歳出総額122 兆 3,092 億円(過去最大。前年度当初比 +7.1 兆円)
 社会保障関係費39 兆 559 億円(最大の歳出項目)
 国債費31 兆 2,758 億円(+3.1 兆円。金利上昇で利払費が増加)
 地方交付税交付金等20 兆 8,778 億円
 防衛力整備計画対象経費8 兆 8,093 億円
税収83 兆 7,350 億円(過去最大の見積り)
新規国債発行(公債金)29 兆 5,840 億円(建設公債 6.7 兆円・特例公債 22.9 兆円)
公債依存度24.2%(前年度 24.9%)
普通国債残高2026 年度末 1,145 兆円の見込み(対 GDP 比 166%)。国と地方の長期債務残高 1,344 兆円(同 194%)

ここまでできれば十分

出題の型:「一般会計は 100 兆円台前半」(122 兆円)、「税収は 60 兆円台」(83.7 兆円)、「公債依存度は 4 割」(24.2%)、「最大の歳出は国債費」(社会保障関係費)、「国債残高は 500 兆円台」(1,100 兆円台)。

もう一歩(発展)


5. 世界経済 ── IMF 見通しと主要国

まずここだけ

IMF「世界経済見通し(WEO)」2026 年 7 月改訂版(実質 GDP 成長率、%)

2025 年(実績)2026 年(見通し)2027 年(見通し)
世界3.53.03.4
米国2.12.32.2
ユーロ圏1.40.91.2
日本1.10.60.7
中国5.04.64.1
世界のインフレ率4.14.73.9
世界貿易量の伸び5.03.54.3

副題は「戦争とテクノロジーの狭間で揺れる世界経済」。2026 年 2 月末に始まった中東の戦争(米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の通航混乱)によるエネルギー価格の上昇が世界成長を押し下げる一方、AI 関連投資が米国などの需要を押し上げる、という「二つの力」が同時に働いています。IMF の前提は原油 1 バレル 78 ドル(2026 年平均。4 月時点の前提 82 ドルより低い)、ホルムズ海峡の通航は 2026 年 7 月中旬に再開、2027 年 3 月までに紛争前の状態に戻る、というもの(最新は IMF で確認)。

ここまでできれば十分

地域2025〜26 年の要点
米国2025 年 4 月にトランプ政権が「相互関税」(国際緊急経済権限法 IEEPA に基づく)を発動。日本は 2025 年 7 月の日米合意で15%、自動車も 15%に。2026 年 2 月 20 日に連邦最高裁が IEEPA は関税を課す権限を与えないと判断し、政権は通商法 122 条など別の根拠に切り替えた(JETRO。最新は JETRO で確認)。FRB は 2025 年に利下げを進めた後、エネルギー価格によるインフレ再燃を受けて2026 年 9 月 16 日の FOMC で 2023 年 7 月以来の利上げに転じ、誘導目標を 3.75〜4.00%に(全員一致。最新は FRB で確認)
中国2025 年の実質成長率 5.0%(政府目標「5%前後」を達成。国家統計局)。GDP は 140 兆 1,879 億元で初めて 140 兆元超。ただし不動産不況・内需不足・デフレ懸念(名目成長率が実質を下回る)が続き、輸出と製造業投資に依存。IMF は 2026 年に 4.6%へ減速と見込む
ユーロ圏・英国低成長(2026 年 0.9%)。ECB は 2025 年 6 月に預金金利を 2.0%まで下げた後据え置き、エネルギー価格上昇を受けて 2026 年 6 月に 2.25%、9 月に 2.50%へ引上げ(2023 年以来の利上げ。最新は ECB で確認)。ドイツは財政ルールを緩めてインフラ・防衛投資へ
新興国インドが主要国で最も高い成長(2026 年 6.4%。IMF)。エネルギー輸入国と脆弱な国ほど中東の戦争の打撃が大きい。資源国は価格上昇の恩恵
貿易世界貿易量の伸びは 2025 年の 5.0%から 2026 年 3.5%へ減速(関税の駆け込みの反動と紛争)。保護主義とサプライチェーンの分断(経済安全保障)が続く
原油2025 年は供給増で 60 ドル台(WTI)まで下落したが、2026 年 2 月 28 日の米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の通航混乱で 3 月に一時 120 ドル近くへ急騰。日本は原油輸入の 9 割超を中東に依存し、政府は 2026 年 3 月から国家備蓄原油を放出した(資源エネルギー庁)

出題の型:「IMF は 2026 年の世界成長率を 4%台と見込む」(3.0%)、「米国の相互関税は最高裁が合憲と判断」(IEEPA に基づく関税は権限外と判断)、「中国は 2025 年に成長目標を下回った」(5.0%で達成)、「ECB は 2026 年も利下げを続けた」(6 月・9 月に利上げ)、「2026 年の世界インフレ率は 2025 年より低下」(4.1% → 4.7%へ上昇)。

もう一歩(発展)


6. よくある間違い

間違い正しくは
名目 GDP は 500 兆円台600 兆円台後半(2025 年度 672.7 兆円)
実質成長率は名目を上回る物価上昇で名目 +4.3% > 実質 +0.9%(2025 年度)
潜在成長率は 2%0%台半ばから後半(日本銀行)
2024 年のコア CPI は 2%未満+2.5%。2023 年 3.1%、2025 年 3.1%
コアコア CPI は生鮮食品だけ除く生鮮食品とエネルギーを除く。生鮮食品だけ除くのがコア
マイナス金利の解除は 2023 年2024 年 3 月
2025 年 1 月の利上げで政策金利は 1%0.5%。0.75%は 2025 年 12 月、1.0%は 2026 年 6 月、1.25%は 2026 年 9 月
経常収支は赤字31.9 兆円の黒字(2025 年、過去最大)
経常黒字の中心は貿易黒字貿易収支は赤字。中心は第一次所得収支
対外純資産は世界 1 位2024 年末にドイツに抜かれ 2 位、2025 年末は中国にも抜かれ 3 位
失業率は 4%台2.5%(2025 年)
2026 年度予算は 110 兆円台122.3 兆円。税収 83.7 兆円、公債依存度 24.2%
最大の歳出は国債費社会保障関係費(39.1 兆円)。国債費は 31.3 兆円
IMF の 2026 年世界成長率は 4%台3.0%(2026 年 7 月改訂)
中国は 2025 年に成長目標未達5.0%で達成。ただし不動産不況・デフレ懸念

7. 覚え方の型

  1. 日本の「7 つの数」を年つきで固定:名目 GDP 673 兆(2025 年度)・実質成長 0.9・コア CPI 3.1(2025 年)・政策金利 1.25(2026 年 9 月〜)・失業率 2.5・有効求人倍率 1.22・経常黒字 32 兆
  2. 物価は「3.1 → 2.5 → 3.1」(コア、2023〜25 年)。名目 − 実質 = デフレーター
  3. 日銀は「24 年 3 月解除 → 7 月 0.25 → 25 年 1 月 0.5 → 12 月 0.75 → 26 年 6 月 1.0 → 9 月 1.25
  4. 国際収支は「貿易は赤字・所得で黒字・純資産は 3 位
  5. 予算は「122 兆・税収 84 兆・国債 30 兆・依存度 24%・残高 1,145 兆」。最大の歳出は社会保障 39 兆
  6. 世界は「IMF 3.0(26 年)・インフレ 4.7・米 2.3・中 4.6・欧 0.9・日 0.6」+「中東の戦争でエネルギー高、AI で投資高」
  7. 白書は「25 年=賃上げを起点とした成長型経済、26 年=成長型経済への本格的移行

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参考資料

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