地方上級 / 数的推理 / zs-20
立体の計量(体積・表面積・最短距離)
この単元でできるようになること
- 柱・錐・球の体積と表面積を、「底面積 × 高さ」「錐は 1/3」「球は 4/3 πr³・4πr²」で出せる
- 表面積は展開図で数え、円錐の側面(おうぎ形)の中心角と面積を出せる
- 相似な立体は体積比が相似比の 3 乗になることを使って、円錐台や容器の水の体積を出せる
- 立体の表面を通る最短距離を、展開図の上の直線に直して三平方の定理で出せる
- 水を入れる・物を沈める問題を「体積が保存される」の 1 点で処理できる
試験での位置づけ
立体の計量は、平面図形(zs-19)に比べると出題数はやや少なめですが、地方上級・国家一般職とも1 問ふくまれることが多い分野です。出方はほぼ決まっていて、(1) 体積・表面積の計算、(2) 相似な立体の体積比、(3) 展開図に直して最短距離、(4) 容器の水の高さ、の 4 型です。使う公式は中学数学の範囲で、高校の積分や球の公式の証明は不要です。判断推理の zs-10 空間図形(展開図・サイコロ・切断)は「形を追う」問題で、この単元は「量を計算する」問題という分担です。
1. 体積と表面積 ── 公式は 4 つだけ
まずここだけ
| 立体 | 体積 | 表面積 |
|---|---|---|
| 柱(角柱・円柱) | 底面積 × 高さ | 底面積 × 2 + 側面積(側面は展開すると長方形) |
| 錐(角錐・円錐) | 底面積 × 高さ × 1/3 | 底面積 + 側面積 |
| 球(半径 r) | (4/3)πr³ | 4πr² |
底面の半径 3 cm、高さ 5 cm の円柱 → 体積 π × 9 × 5 = 45π cm³、表面積 9π × 2 + (2π × 3) × 5 = 18π + 30π = 48π cm²
円柱の側面は「横 = 底面の円周、縦 = 高さ」の長方形です。表面積の問題は、頭の中で展開図をかいて面を数えるのがいちばん確実です。
ここまでできれば十分
円錐の側面は、半径が母線 l、弧の長さが底面の円周 2πr のおうぎ形です。
- 中心角 = 360° × r/l
- 側面積 = πl² × r/l = πlr(母線 × 半径 × π)
- 表面積 = πr² + πlr = πr(r + l)
底面の半径 3 cm、母線 9 cm の円錐 → 中心角 = 360 × 3/9 = 120°、側面積 = π × 9 × 3 = 27π、表面積 = 9π + 27π = 36π cm²
逆に「中心角 120°、母線 9 cm」と与えられたら、r = 9 × 120/360 = 3 cm と戻し、高さは三平方で √(9² − 3²) = 6√2 cm、体積は (1/3) × 9π × 6√2 = 18√2π cm³ と出します。
正四角錐の表面積は、側面の二等辺三角形の高さ(頂点から底面の辺の中点までの長さ)を、立体の高さ h と底面の 1 辺の半分 a/2 から三平方で出します。
底面 1 辺 6 cm、高さ 4 cm → 側面の三角形の高さ = √(4² + 3²) = 5 cm → 側面 1 枚 6 × 5 ÷ 2 = 15、4 枚で 60、底面 36 → 96 cm²
もう一歩(発展)
半球の表面積は「曲面 2πr² + 切り口の円 πr² = 3πr²」。切り口を数え忘れる間違いが多いところです。半径 r の球がぴったり入る円柱(半径 r、高さ 2r)と球の体積比は 3 : 2、側面積と球の表面積は等しい(どちらも 4πr²)という関係も知っておくと、選択肢の見当をつけるのに使えます。
2. 相似な立体 ── 体積比は 3 乗
まずここだけ
相似比 m : n の立体は、表面積比 m² : n²、体積比 m³ : n³です。
円錐を、頂点から高さの 1 : 1 の位置(半分)で底面に平行に切る。上の小さい円錐ともとの円錐の相似比は 1 : 2 → 体積比 1 : 8。もとの円錐が 80 cm³ なら、小さい円錐は 10 cm³、残りの円錐台は 70 cm³
「高さが半分なら体積は 1/8、体積が半分になる高さは 1/2 ではない」という感覚が、この単元で最初に身につけることです。
ここまでできれば十分
頂点を下にした円錐形の容器に水を入れる問題は、水の部分がもとの容器と相似な円錐になります。
深さ 12 cm、満水 216 cm³ の容器に、深さ 8 cm まで水を入れる。 相似比 8 : 12 = 2 : 3 → 体積比 8 : 27 → 216 × 8/27 = 64 cm³
円錐台の体積は「大きい円錐 − 小さい円錐」で出します。円錐台だけの公式を覚える必要はありません。
3. 最短距離 ── 展開図の上の直線
まずここだけ
立体の表面を通る 2 点間の最短距離は、通る面を平面に開いたとき(展開図)の 2 点を結ぶ直線です。曲面でも同じで、円柱の側面は長方形に、円錐の側面はおうぎ形に開きます。
底面の円周 12 cm、高さ 16 cm の円柱。下の底面の点 A から、側面を 1 周して A の真上の点 B へ。 側面を開くと横 12 × 縦 16 の長方形で、A は左下、B は右上 → 対角線 √(12² + 16²) = 20 cm
ここまでできれば十分
直方体の 1 つの頂点から、反対側の頂点(辺も面も共有しない頂点)まで表面を通る最短距離は、通る 2 面の選び方で 3 通りの展開図ができます。縦 a、横 b、高さ c なら候補は
- √((a + b)² + c²)、√((a + c)² + b²)、√((b + c)² + a²)
で、短い 2 辺を足した組がいちばん短くなります。
縦 3 cm、横 5 cm、高さ 6 cm → 3 + 5 = 8 と 6 の組 → √(8² + 6²) = 10 cm(他の 2 通りは √106、√130)
「最短」と問われたら、必ず 3 通りを比べる(または短い 2 辺を足す)癖をつけてください。対角線 √(a² + b² + c²) は内部を通る長さなので、表面を通る問題では使いません。
もう一歩(発展)
円錐の側面を通って 1 周して戻る最短距離は、展開図のおうぎ形で、同じ点に対応する 2 つの端を結ぶ弦になります。中心角 90° で母線 4 cm なら、直角二等辺三角形の斜辺で 4√2 cm。中心角が 180° を超えると、最短は頂点を通るコース(母線 2 本分)になるので注意が必要です。
4. 水と容器 ── 体積は保存される
まずここだけ
水を移す・傾ける・物を沈める問題は、水の体積は変わらないの 1 点で立式します。
底面積 50 cm² の円柱形の容器に、体積 120 cm³ の石を完全に沈める → 水面は 120 ÷ 50 = 2.4 cm 上がる 底面積 30 cm² の容器に深さ 8 cm の水。これを底面積 40 cm² の容器に移す → 30 × 8 ÷ 40 = 6 cm
ここまでできれば十分
直方体の容器を傾けて水面が底面の対角の辺まで来る問題は、水の部分が三角柱になります。「底面 = 直角三角形、高さ = 容器の奥行き」と読みかえれば、柱の体積の公式で出せます。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 錐の体積で 1/3 を忘れる | 錐は 底面積 × 高さ × 1/3 |
| 円錐の側面積を πr² × 中心角/360 で母線でなく半径を使う | おうぎ形の半径は母線 l。側面積 = πlr |
| 相似比 1 : 2 → 体積比 1 : 2 や 1 : 4 | 体積比は 1 : 8(3 乗) |
| 表面を通る最短距離に √(a² + b² + c²) を使う | それは内部の対角線。展開図で 3 通りを比べる |
| 半球の表面積を 2πr² だけにする | 切り口の円 πr² を足して 3πr² |
6. 解き方の型
- 立体の種類を決める(柱・錐・球・その組み合わせ)
- 体積は 底面積 × 高さ(錐は 1/3)。底面の形をまず確定する
- 表面積は展開図を頭にかき、面を 1 枚ずつ数える。円錐はおうぎ形(半径 = 母線)
- 相似が見えたら 3 乗。円錐台は「大 − 小」
- 最短距離は展開図の直線。直方体は 3 通りを比べる
- 水の問題は「体積が同じ」で式を 1 本
7. 小テストへ
→ 小テスト(zs-20)
関連する単元
- 前提:m1-17 立体の表面積と体積、m3-17 三平方の定理の利用(平面・空間)、zs-19 平面図形の計量
- 次に進む:zs-21 覆面算・虫食い算・記数法の応用(数的推理の残りの単元)
- 同じ考え方を使う:zs-10 空間図形(展開図・サイコロ・立体の切断・投影図)、m3-13 相似の利用・面積比と体積比
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野(数的処理)
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 数学編」── 空間図形・相似・三平方の定理の扱い
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/suteki/zs-20/ / 更新 2026-09-14