地方上級 / 行政法 / zg-09
行政事件訴訟法
この単元でできるようになること
- 行政事件訴訟の 4 類型(抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟)と、抗告訴訟の法定 6 類型を区別できる
- 取消訴訟の訴訟要件のうち処分性・原告適格・狭義の訴えの利益を、代表的な判例で「認められた/認められなかった」と言える
- 出訴期間・被告適格・管轄・審査請求との関係を条文どおりに答えられる
- 執行停止の要件と内閣総理大臣の異議、事情判決、取消判決の第三者効・拘束力を説明できる
- 2004 年改正で整備された義務付け訴訟・差止訴訟・仮の義務付け・仮の差止めと、当事者訴訟の使いどころを事例で選べる
試験での位置づけ
行政法の中でもっとも出題の比重が大きい単元の 1 つです。地方上級・国家一般職とも、訴訟要件(処分性・原告適格・訴えの利益)の判例と、条文の数字・要件の入れかえの 2 本立てで問われます。判例は数が多いので、「事案 → 認めた/認めない → 一言の理由」の形で覚え、行政不服審査法(zg-08)と対になる項目(期間・執行停止・事情裁決と事情判決)は並べて整理してください。行政行為の公定力(zg-02)は「取消訴訟の排他的管轄」として、ここで出訴期間や無効確認訴訟とつながります。
1. 行政事件訴訟の類型
まずここだけ
行政事件訴訟法(昭和 37 年・1962 年制定。2004 年(平成 16 年)に大改正)は、行政事件訴訟を 4 つに分けます(2 条)。
| 類型 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 抗告訴訟 | 行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(3 条) | 営業停止処分の取消訴訟 |
| 当事者訴訟 | 対等な当事者間の公法上の法律関係に関する訴訟(4 条) | 損失補償額の増額請求、公務員の地位確認 |
| 民衆訴訟 | 自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する訴訟(5 条) | 住民訴訟、選挙の効力に関する訴訟 |
| 機関訴訟 | 国・公共団体の機関相互間の権限の争い(6 条) | 地方公共団体の長と議会の争い |
民衆訴訟と機関訴訟は「自分の権利を守る訴え」ではない客観訴訟なので、法律に定めがある場合に、法律に定める者に限り提起できます(42 条)。
抗告訴訟は法定されているものが 6 つあります(3 条 2〜7 項)。処分の取消訴訟、裁決の取消訴訟、無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟、義務付け訴訟、差止訴訟です。このほかに条文にない「無名抗告訴訟(法定外抗告訴訟)」も否定されていません。
ここまでできれば十分
当事者訴訟は 2 つに分かれます。
- 形式的当事者訴訟:本当は処分の内容を争っているのに、法律の定めで当事者間の訴訟の形をとるもの。典型は土地収用の損失補償額を起業者と土地所有者の間で争う訴え(土地収用法 133 条)
- 実質的当事者訴訟:公法上の法律関係に関する確認の訴えなど。2004 年改正で「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が例示され、活用が期待されました。在外国民選挙権訴訟(最大判平成 17 年(2005 年)9 月 14 日)で、次回の選挙で投票できる地位の確認を求める訴えが適法とされたのがその代表例です
処分の取消訴訟と裁決の取消訴訟の両方が可能なとき、裁決の取消訴訟では裁決固有の瑕疵しか主張できません(10 条 2 項。原処分主義)。個別法で「裁決の取消訴訟しか認めない」とされる場合(裁決主義)は例外です。
2. 処分性 ── 何が取消訴訟の対象になるか
まずここだけ
取消訴訟の対象は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(3 条 2 項)です。判例の定義は、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもの(最判昭和 39 年(1964 年)10 月 29 日、大田区ごみ焼却場事件)。「公権力性」と「直接・具体的な法効果」の 2 つの要素で判断します。
| 認められなかった(処分性なし) | 理由の一言 |
|---|---|
| ごみ焼却場の設置行為(最判昭和 39 年 10 月 29 日) | 私法上の契約と事実行為の積み重ねにすぎない |
| 通達(墓地埋葬通達 最判昭和 43 年(1968 年)12 月 24 日) | 行政内部の命令で国民を直接拘束しない |
| 都市計画法の用途地域の指定(最判昭和 57 年(1982 年)4 月 22 日) | 一般的・抽象的な制約で、具体的な処分の段階で争えばよい |
| 公務員の採用内定の取消し(最判昭和 57 年 5 月 27 日) | 内定は採用の準備行為で法的地位を与えない |
| 行政指導一般(勧告・助言) | 任意の協力を求めるだけで法効果がない |
| 認められた(処分性あり) | 理由の一言 |
|---|---|
| 土地区画整理事業の事業計画決定(最大判平成 20 年(2008 年)9 月 10 日) | 換地処分を受ける地位に立たされ、建築制限も受ける。「青写真」とした昭和 41 年判決を変更 |
| 医療法に基づく病院開設中止の勧告(最判平成 17 年(2005 年)7 月 15 日) | 勧告に従わないと保険医療機関の指定を受けられないという事実上の強い不利益が仕組み上予定されている |
| 建築基準法の二項道路の一括指定(最判平成 14 年(2002 年)1 月 17 日) | 指定により個別の土地に具体的な私権制限が生じる |
| 保育所廃止条例(最判平成 21 年(2009 年)11 月 26 日) | 特定の保育所の在園児と保護者という限られた者に直接の法効果を生ずるので、条例制定でも処分にあたる |
| 労災就学援護費の不支給決定(最判平成 15 年(2003 年)9 月 4 日) | 法の仕組み上、支給決定によって初めて具体的な請求権が生ずる |
| 登録免許税の還付通知をしない旨の通知(最判平成 17 年 4 月 14 日) | 還付を受ける簡易な手続を閉ざす法効果がある |
| 食品衛生法違反の通知(最判平成 16 年(2004 年)4 月 26 日) | 通知により輸入届出の手続が進まなくなる法的効果がある |
ここまでできれば十分
近年の判例は、行為の形式(条例・勧告・通知)ではなく、法の仕組み全体の中でその行為がどんな不利益を確実にもたらすかで処分性を判断する傾向があります(仕組み解釈)。医療法勧告は、勧告自体は行政指導なのに、それに続く保険医療機関の指定拒否とセットで見て処分性を認めた点が特徴です。同じ発想で、実効的な権利救済の観点(事業計画の段階で争わせないと、後で換地処分を争っても事情判決になりやすい)が土地区画整理事業計画の判例変更の理由になっています。
3. 原告適格と狭義の訴えの利益
まずここだけ
原告適格:取消訴訟を提起できるのは「法律上の利益を有する者」(9 条 1 項)。処分の相手方は当然に含まれ、問題は第三者(周辺住民・競業者・消費者)です。判例は「法律上保護された利益説」に立ち、処分の根拠法令が、公益だけでなく個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むかどうかで判断します。2004 年改正で加わった 9 条 2 項は、その判断にあたって、根拠法令の趣旨・目的だけでなく関係法令の趣旨・目的も参照し、害される利益の内容・性質・程度も考慮するよう命じています。
| 判例 | 原告 | 結論 |
|---|---|---|
| 主婦連ジュース事件(最判昭和 53 年 3 月 14 日) | 消費者団体 | 否定。一般消費者の利益は反射的利益 |
| 新潟空港事件(最判平成元年(1989 年)2 月 17 日) | 空港周辺住民(定期航空運送事業免許を争う) | 肯定。航空法と関係法令(航空機騒音防止法)から騒音被害を受けない利益を個別的利益として保護 |
| もんじゅ事件(最判平成 4 年(1992 年)9 月 22 日) | 原子炉から 29〜58 km に住む住民 | 肯定。事故で生命・身体に直接的かつ重大な被害を受けるおそれのある範囲の住民 |
| 近鉄特急料金事件(最判平成元年 4 月 13 日) | 特急を利用する通勤者 | 否定。料金認可は利用者の個別的利益を保護する趣旨ではない |
| 伊場遺跡事件(最判平成元年 6 月 20 日) | 学術研究者 | 否定。文化財保護条例は研究者の利益を個別に保護していない |
| 小田急高架訴訟(最大判平成 17 年 12 月 7 日) | 鉄道高架事業の沿線住民 | 肯定。都市計画法の関係法令(公害対策基本法・環境影響評価条例)も参照し、騒音・振動で健康や生活環境に著しい被害を受けるおそれのある住民に原告適格。平成 11 年の環状 6 号線判決を変更 |
| サテライト大阪事件(最判平成 21 年 10 月 15 日) | 場外車券売場の周辺住民・医療施設開設者 | 周辺住民は否定。位置基準で保護される医療施設等の開設者には肯定の余地 |
ここまでできれば十分
狭義の訴えの利益:処分の後に事情が変わり、取り消しても意味がなくなったのではないか、という問題です。9 条 1 項かっこ書は「処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者」を含めています。
| 判例 | 結論 |
|---|---|
| メーデーの皇居外苑使用不許可(最大判昭和 28 年(1953 年)12 月 23 日) | 期日の経過で消滅 |
| 運転免許停止処分、停止期間経過後(最判昭和 55 年(1980 年)11 月 25 日) | 前歴としての不利益期間(1 年)も過ぎていれば消滅。名誉・信用の侵害は事実上の効果にすぎない |
| 建築確認、工事完了後(最判昭和 59 年(1984 年)10 月 26 日) | 消滅。工事完了後は是正命令の判断に確認の有無が影響しない |
| 開発許可、工事完了後(最判平成 5 年(1993 年)9 月 10 日) | 市街化区域では消滅。ただし市街化調整区域では、開発許可があると建築制限が解除される仕組みなので、工事完了後も存続(最判平成 27 年(2015 年)12 月 14 日) |
| 土地改良事業の施行認可、工事完了後(最判平成 4 年 1 月 24 日) | 存続。原状回復が社会的に困難でも、それは事情判決で考慮すべき事情にすぎない |
| 公務員の免職処分、公職への立候補後(最大判昭和 40 年(1965 年)4 月 28 日) | 公務員の地位は回復できないが、給与請求権があるので存続 |
| 生活保護の変更決定、受給者の死亡(朝日訴訟 最大判昭和 42 年(1967 年)5 月 24 日) | 保護受給権は一身専属で相続されず終了 |
| 運転免許証の優良運転者の記載を欠く更新処分(最判平成 21 年 2 月 27 日) | 優良運転者として更新を受ける法律上の地位があるので存続 |
見分け方の軸は、「処分の法効果が、期間経過や工事完了の後もどこかに残っているか(前歴・給与・建築制限の解除など)」です。
4. 取消訴訟の手続 ── 期間・被告・管轄・審査請求との関係
まずここだけ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出訴期間(14 条) | 処分・裁決があったことを知った日から 6 か月、処分の日から 1 年(正当な理由があれば例外)。審査請求をしたときは裁決を知った日・裁決の日から起算 |
| 被告(11 条) | 処分をした行政庁が所属する国または公共団体(2004 年改正で行政庁から変更)。行政庁が国・公共団体に所属しないときはその行政庁 |
| 管轄(12 条) | 被告の普通裁判籍所在地または処分庁所在地の地方裁判所。国を被告とする場合は、原告の普通裁判籍所在地を管轄する高等裁判所所在地の地方裁判所(特定管轄裁判所)にも提起可 |
| 審査請求との関係(8 条) | 自由選択が原則。個別法で審査請求前置が定められている場合でも、(1)審査請求から 3 か月経っても裁決がない、(2)著しい損害を避ける緊急の必要、(3)その他正当な理由があれば、裁決を経ずに提訴できる |
| 教示(46 条) | 処分を書面でするとき、被告・出訴期間・審査請求前置の有無を書面で教示 |
ここまでできれば十分
- 訴えの併合・変更:関連請求(国家賠償請求など)の併合(16〜19 条)、取消訴訟から当事者訴訟・民事訴訟への変更(21 条)が認められています
- 訴訟参加:判決で権利を害される第三者の参加(22 条)、他の行政庁の参加(23 条)
- 職権証拠調べ(24 条):裁判所は必要があれば職権で証拠調べができます。ただし、当事者が主張していない事実まで裁判所が探す職権探知は認められません
- 釈明処分の特則(23 条の 2):裁判所は行政庁に処分の理由を明らかにする資料の提出を求められます
- 違法判断の基準時は処分時(判例・通説)。処分の後に法令が改正されても、処分時の法令で違法かどうかを判断します
- 理由の差替え:処分庁が訴訟で当初と別の理由を主張することは、処分の同一性を失わない範囲で認められる場合があります(青色申告の更正処分について 最判昭和 56 年(1981 年)7 月 14 日)。ただし理由付記制度の趣旨を損なう場合は制限されます
- 取消理由の制限(10 条 1 項):自己の法律上の利益に関係のない違法を理由に取消しを求めることはできません
5. 執行停止と判決
まずここだけ
執行不停止の原則(25 条 1 項)は行政不服審査法と同じです。裁判所が執行停止をするための要件は次のとおり。
- 申立てがあること(職権ではできない)
- 処分・執行・手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があること(2004 年改正で「回復の困難な損害」から緩和。損害の回復の困難の程度、損害の性質・程度、処分の内容・性質を考慮)
- 消極要件:公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、本案について理由がないとみえるときは不可
- 処分の効力の停止は、執行の停止・手続の続行の停止で目的を達成できるときは不可
内閣総理大臣の異議(27 条):執行停止の申立てがあった後、決定の前でも後でも、内閣総理大臣は理由を付して異議を述べることができます。異議があると裁判所は執行停止をできず、すでにした執行停止は取り消さなければなりません。やむを得ない場合でなければ述べてはならず、述べたときは次の常会で国会に報告する義務があります。行政不服審査法にはない制度です。
ここまでできれば十分
判決の種類:却下(訴訟要件を欠く)・棄却(違法でない)・認容(取消し)。加えて事情判決(31 条)── 処分は違法だが、取り消すと公の利益に著しい障害を生ずる場合、原告の受ける損害の程度や賠償・防止の程度などを考慮して、請求を棄却し、判決の主文で処分が違法であることを宣言します。議員定数不均衡訴訟で「事情判決の法理」として使われたのもこの規定の考え方です。
取消判決の効力
| 効力 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 形成力 | 判決確定により処分の効力は初めからなかったことになる(行政庁の取消し行為は不要) | ── |
| 第三者効 | 取消判決は第三者に対しても効力をもつ。そのため訴訟に参加できなかった第三者には再審の訴えが用意されている(34 条) | 32 条 |
| 拘束力 | 処分庁その他の関係行政庁を拘束する。同じ理由で同じ処分はできず、申請拒否処分が取り消されたら改めて申請に対する処分をしなければならない | 33 条 |
| 既判力 | 判決の判断内容が後の訴訟で争えなくなる(民事訴訟法の一般原則) | ── |
6. 取消訴訟以外の抗告訴訟と 2004 年改正
まずここだけ
| 訴訟 | 使う場面 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 無効等確認訴訟(36 条) | 出訴期間を過ぎた処分に重大かつ明白な瑕疵があるとき | (1)その処分に続く処分で損害を受けるおそれがある者、または(2)無効を前提とする現在の法律関係に関する訴え(民事訴訟・当事者訴訟)で目的を達成できない者(補充性)。もんじゅ事件は原子炉設置許可の無効確認訴訟で周辺住民の原告適格を認めた |
| 不作為の違法確認訴訟(37 条) | 申請したのに相当の期間内に応答がない | 申請をした者だけが提起可。認容されても「違法」が確認されるだけで、許可を命ずるところまではいかない |
| 義務付け訴訟(37 条の 2・37 条の 3) | 行政庁に処分をさせたい | 非申請型(規制権限の発動を求める。例:隣の違法建築に是正命令を出せ):重大な損害を生ずるおそれ+他に適当な方法がない(補充性)+法律上の利益。申請型(自分の申請を認めさせる):不作為の違法確認訴訟または拒否処分の取消訴訟・無効確認訴訟と併合提起が必要。本案では、処分をすべきことが法令の規定から明らかか、しないことが裁量権の逸脱・濫用と認められることが必要 |
| 差止訴訟(37 条の 4) | 処分がされる前に止めたい | 重大な損害を生ずるおそれ+他に適当な方法がない(補充性)+法律上の利益。処分がされる蓋然性も必要 |
ここまでできれば十分
仮の救済:義務付け訴訟・差止訴訟には仮の義務付け・仮の差止め(37 条の 5)があります。要件は執行停止より厳しく、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえること。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは不可。内閣総理大臣の異議の規定が準用されます。
事例で確認:公立学校の教職員が、卒業式で国歌斉唱時に起立しなかったことを理由に懲戒処分を受けるおそれがあるとして、将来の懲戒処分の差止めを求めた。 → 結論:差止訴訟は、処分が反復して行われることが見込まれ、事後の取消訴訟や執行停止では救済が間に合わない「重大な損害」があるとして適法(本案では免職以外の処分について請求棄却)。あわせて、職務命令に従う義務がないことの確認を求める公法上の当事者訴訟も適法とした(最判平成 24 年(2012 年)2 月 9 日)。差止訴訟と当事者訴訟の使い分けを示した判例として出題されます。
2004 年改正の要点を 1 つにまとめると、(1)原告適格の考慮事項(9 条 2 項)、(2)義務付け・差止訴訟の法定と仮の救済、(3)被告を行政庁から国・公共団体へ、(4)出訴期間を 3 か月から 6 か月へ、(5)執行停止の要件を「重大な損害」へ緩和、(6)当事者訴訟に確認訴訟を明示、(7)管轄の拡大と教示制度、です。
7. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 出訴期間は処分を知った日から 3 か月 | 6 か月(2004 年改正後)。3 か月は審査請求期間 |
| 取消訴訟の被告は処分をした行政庁 | 行政庁が所属する国または公共団体(11 条) |
| 取消訴訟を提起するには原則として審査請求を経なければならない | 自由選択が原則。前置は個別法の定めがある場合だけ |
| 用途地域の指定にも処分性がある | ない(最判昭和 57 年 4 月 22 日)。土地区画整理事業計画決定は平成 20 年判決で処分性あり |
| 医療法の勧告は行政指導だから処分性はない | 保険医療機関指定との仕組みから処分性あり(最判平成 17 年 7 月 15 日) |
| 裁判所は職権で執行停止できる | 申立てが必要。職権でできるのは行政不服審査法の上級庁・処分庁である審査庁 |
| 事情判決では請求を認容して違法を宣言する | 請求を棄却しつつ主文で違法を宣言 |
| 取消判決の効力は当事者間にしか及ばない | 第三者にも及ぶ(32 条)。そのため第三者の再審の訴えがある |
| 免許停止期間が過ぎれば直ちに訴えの利益が消滅する | 前歴として不利益に扱われる期間が残っていれば存続。それも過ぎれば消滅 |
| 不作為の違法確認訴訟は誰でも提起できる | 申請をした者に限られる |
| 非申請型義務付け訴訟には補充性の要件はない | 「他に適当な方法がない」ことが必要。申請型は併合提起が必要 |
8. 覚え方の型
- 訴訟要件は「処分性 → 原告適格 → 訴えの利益 → 被告・管轄・期間」の順に検討する癖をつける。選択肢もこの順で切る
- 処分性の判例は「否定 5 つ(焼却場・通達・用途地域・内定取消し・行政指導)」を先に固め、肯定判例は「仕組み解釈で不利益が確実」という一言で束ねる
- 原告適格は「周辺住民は肯定が多い(新潟空港・もんじゅ・小田急)、消費者・利用者・研究者は否定(主婦連・近鉄・伊場)」
- 訴えの利益は「残っている法効果を探す」(前歴・給与・建築制限の解除・優良運転者)
- 数字は「6 か月・1 年(出訴)/3 か月(前置の例外)」を行政不服審査法の「3 か月・1 年」と並べる
- 執行停止は「申立て・重大な損害・緊急・消極要件 2 つ」、仮の義務付け・差止めは「償うことのできない損害+本案に理由」と厳しくなる、と段階で覚える
9. 小テストへ
→ 小テスト(zg-09)
関連する単元
- 前提:zg-02 行政行為(効力・瑕疵・取消しと撤回・附款)の公定力と無効、zg-03 行政裁量・行政立法・行政計画、zg-08 行政不服審査法
- 次に進む:zg-10 国家賠償法と損失補償(取消訴訟と国家賠償の違法の関係)
- 同じ考え方を使う:zh-09 裁判所と違憲審査制、zh-10 財政・地方自治・憲法改正(住民訴訟)、zg-07 情報公開法と個人情報保護(不開示決定の取消訴訟)
参考資料
- 行政事件訴訟法(e-Gov 法令検索)── 2〜14 条・16〜27 条・31〜34 条・36 条・37 条・37 条の 2〜37 条の 5・42 条・46 条
- 最高裁判所「裁判例検索」── 本文中の各判例(最判昭和 39 年 10 月 29 日、最大判平成 20 年 9 月 10 日、最判平成 17 年 7 月 15 日、最判平成 4 年 9 月 22 日、最大判平成 17 年 12 月 7 日、最判平成 24 年 2 月 9 日ほか)
- 法務省・裁判所「行政事件訴訟法の改正(平成 16 年)」の解説資料
- 標準的な行政法の体系書・判例集(『行政判例百選』など)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zg-09/ / 更新 2026-09-14