地方上級 / 憲法 / zh-09
裁判所と違憲審査制
この単元でできるようになること
- 司法権の対象である「法律上の争訟」の 2 要件と、これにあたらないとされた判例(板まんだら事件・警察予備隊違憲訴訟)を説明できる
- 司法権の限界(議院の自律権・統治行為・部分社会の法理)を、富山大学事件・共産党袴田事件・地方議会の出席停止(令和 2 年の判例変更)で区別できる
- 裁判所の組織(最高裁 15 人・下級裁判所の任命と任期)、特別裁判所の禁止、裁判の公開(82 条)の例外を条文で言える
- 司法権の独立の 2 つの意味と、裁判官の身分保障(罷免は弾劾裁判と心身の故障の裁判だけ・国民審査・報酬減額禁止)を説明できる
- 違憲審査制が付随的審査制であること、審査の対象(条約・立法不作為)、違憲判決の効力(個別的効力説)と、主な法令違憲判決を挙げられる
試験での位置づけ
裁判所は統治機構の中で、国会・内閣と並ぶ柱です。地方上級・国家一般職とも「法律上の争訟にあたるか」「司法審査が及ぶか」を判例で問う問題と、「最高裁裁判官の任命・国民審査・下級裁判所裁判官の任期」のように条文の数字を問う問題の 2 系統があります。とくに部分社会の法理は、2020 年(令和 2 年)に地方議会議員の出席停止についての判例が変更されたので、古い知識のままだと間違えます。違憲審査制では「付随的審査制」「個別的効力説」という用語と、法令違憲判決の一覧を押さえてください。国会(zh-07)の弾劾裁判・国政調査権、内閣(zh-08)の統治行為論とつながります。
1. 司法権の範囲 ── 「法律上の争訟」
まずここだけ
76 条 1 項「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」。司法とは、具体的な争訟について法を適用し宣言することによって解決する国家作用です。裁判所が扱えるのは、裁判所法 3 条の「法律上の争訟」で、判例は次の 2 要件で定義します。
- 当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であること
- それが法令の適用によって終局的に解決できるものであること
| 判例 | 事案 | 結論 |
|---|---|---|
| 警察予備隊違憲訴訟 最大判昭和 27 年(1952 年)10 月 8 日 | 政党が、具体的事件を離れて警察予備隊の設置の違憲確認を最高裁に直接求めた | 具体的な争訟を離れて抽象的に法令の合憲性を判断する権限は裁判所にない。要件 1 を欠く |
| 板まんだら事件 最判昭和 56 年(1981 年)4 月 7 日 | 宗教団体への寄付金の返還を求め、その前提として本尊の真偽が争われた | 訴えの形式は金銭の返還請求(具体的な権利義務)だが、その前提問題として宗教上の教義の判断が不可欠で、法令の適用では解決できない。要件 2 を欠き法律上の争訟にあたらない |
| 技術士国家試験事件 最判昭和 41 年(1966 年)2 月 8 日 | 国家試験の不合格判定の取消し | 試験の合否判定は学問・技術上の知識の優劣の判断であり、裁判所の審査の対象にならない |
ここまでできれば十分
「法律上の争訟」にあたらなくても、法律で特に定めた場合は裁判所が裁判できます(裁判所法 3 条「その他法律において特に定める権限」)。代表例が客観訴訟で、選挙の効力を争う選挙訴訟(民衆訴訟)や、地方公共団体の違法な財務会計行為を住民が争う住民訴訟、国と地方公共団体の権限争いを争う機関訴訟です。これらは個人の権利救済ではなく、法秩序の適正を目的とするので、法律の定めがある範囲でだけ提起できます(zg-09)。
2. 司法権の限界
まずここだけ
法律上の争訟であっても、裁判所が審査を控える場合があります。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 憲法上の限界 | 憲法が他の機関に判断を委ねている | 議員の資格争訟の裁判(55 条・各議院)、弾劾裁判(64 条・国会の弾劾裁判所) |
| 国際法上の限界 | 条約・国際法により裁判権が及ばない | 外交官の治外法権 |
| 議院の自律権 | 議院の内部事項は議院自身が決める | 警察法改正無効事件(最大判昭和 37 年(1962 年)3 月 7 日):両院で議決を経て公布されている以上、裁判所は議事手続の有効無効を審理しない |
| 自由裁量 | 立法府・行政府の裁量に委ねられた事項は、裁量の逸脱・濫用がない限り審査しない | 朝日訴訟・堀木訴訟(zh-06)、行政裁量(zg-03) |
| 統治行為 | 高度に政治性のある国家行為は、法的判断が可能でも審査しない | 苫米地事件(衆議院の解散)、砂川事件(安保条約。ただし「一見きわめて明白に違憲無効」でない限り、という留保つき) |
| 部分社会の法理 | 自律的な法規範をもつ団体の内部紛争は、一般市民法秩序と直接関係しない限り、団体の自治に委ねる | 下の表 |
ここまでできれば十分
部分社会の法理の判例は、「内部問題として審査しない」ものと「一般市民法秩序に関わるので審査する」ものを対にして覚えます。
| 団体 | 判例 | 審査しない | 審査する |
|---|---|---|---|
| 大学 | 富山大学単位不認定事件 最判昭和 52 年(1977 年)3 月 15 日 | 単位の認定(大学内部の教育上の措置) | 専攻科修了の認定(修了できないと一般市民としての国公立大学利用の権利が害される) |
| 地方議会 | 最大判昭和 35 年(1960 年)10 月 19 日 → 最大判令和 2 年(2020 年)11 月 25 日(岩沼市議会事件)で判例変更 | 昭和 35 年判決は出席停止を内部問題として審査しないとした | 除名は昔から審査の対象。令和 2 年判決は、出席停止も議員としての中核的な活動を制約し住民の負託に関わるとして司法審査の対象とした(昭和 35 年判決を変更) |
| 政党 | 共産党袴田事件 最判昭和 63 年(1988 年)12 月 20 日 | 政党の内部規律に関する処分は原則として自律的な解決に委ねる | 一般市民としての権利利益を侵害する場合(除名処分を前提に家屋の明渡しを求めた場合)は審査するが、その審査は処分の手続が適正か(政党の規範に則り、規範がなければ条理に基づく公正な手続か)に限られる |
| 宗教団体 | 板まんだら事件(前述)、種徳寺事件・蓮華寺事件 | 教義・信仰の内容に関わる判断 | 住職の地位の確認そのものは法律上の争訟でないが、それを前提とした具体的な権利関係は審査しうる |
令和 2 年の岩沼市議会事件は、出題頻度の高い判例変更です。「地方議会議員の出席停止処分は司法審査の対象にならない」という肢は、現在では誤りになります。
3. 裁判所の組織と裁判官
まずここだけ
| 最高裁判所 | 下級裁判所(高裁・地裁・家裁・簡裁) | |
|---|---|---|
| 構成 | 長官 1 人+裁判官 14 人=15 人(裁判所法) | 法律で設置 |
| 任命 | 長官:内閣が指名し天皇が任命(6 条 2 項)/その他:内閣が任命し天皇が認証(79 条 1 項) | 最高裁の指名した者の名簿によって内閣が任命(80 条 1 項) |
| 任期 | なし(国民審査と定年あり) | 10 年。再任されることができる |
| 定年 | 法律で定める年齢(70 歳) | 法律で定める年齢(65 歳。簡易裁判所は 70 歳) |
| 権限 | 上告審・規則制定権(77 条)・下級裁判所裁判官の指名・司法行政の監督 | 法律で定める管轄 |
特別裁判所の禁止(76 条 2 項):特別裁判所とは、通常の裁判所の系列から独立した裁判機関(明治憲法下の軍法会議・行政裁判所など)です。家庭裁判所は最高裁を頂点とする通常裁判所の系列に属するので特別裁判所ではありません(最大判昭和 31 年(1956 年)5 月 30 日)。国会の弾劾裁判所は憲法自身が認めた例外です。また行政機関は終審として裁判を行えない(76 条 2 項後段)ので、行政機関の審判(独立行政委員会の審決など)は前審としてなら認められ、その後に裁判所に出訴できなければなりません。
ここまでできれば十分
国民審査(79 条 2 項〜4 項):最高裁判所の裁判官は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査に付され、その後10 年を経過した後初めて行われる総選挙の際にさらに審査に付されます。投票者の多数が罷免を可とするときは罷免されます。国民審査の法的性質は解職(リコール)の制度であり、任命行為の完成・確認ではない、とするのが判例(最大判昭和 27 年(1952 年)2 月 20 日)です。だから何も記入しない票は「罷免を可としない」票として扱われます。在外国民審査権訴訟(最大判令和 4 年(2022 年)5 月 25 日)は、在外国民に国民審査の投票を認めていなかったことを違憲とし、国家賠償も認めました(法令違憲判決の一つ)。
最高裁判所の規則制定権(77 条):訴訟に関する手続・弁護士・裁判所の内部規律・司法事務処理に関する事項について、最高裁は規則を定められます(国会中心立法の原則の例外)。同じ事項を法律で定めることもでき、法律と規則が競合した場合の優劣は、法律優位説が多数ですが争いがあります。検察官は最高裁の規則に従わなければなりません(77 条 2 項)。
裁判員制度:国民が裁判官とともに刑事裁判を行う制度について、最高裁(最大判平成 23 年(2011 年)11 月 16 日)は、憲法は国民の司法参加を禁じておらず、裁判官が関与し評議・評決の仕組みも公正であることなどから、76 条・32 条・37 条・18 条(苦役)のいずれにも反しないとしました。
4. 司法権の独立と裁判官の身分保障
まずここだけ
司法権の独立には 2 つの意味があります。
- 司法府の独立:裁判所全体が立法・行政から独立していること(規則制定権・司法行政権)
- 裁判官の職権の独立(76 条 3 項):個々の裁判官が「その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」。ここでの良心は、裁判官個人の主観的な良心ではなく、裁判官としての客観的な良心と解されています。他の裁判官や裁判所の上司からの干渉も許されません
司法権の独立が問題となった事例
| 事例 | 内容 |
|---|---|
| 大津事件(1891 年) | ロシア皇太子を襲った巡査に死刑を求める政府の圧力に対し、大審院長児島惟謙が担当裁判官を説得して通常の謀殺未遂罪を適用させた。行政からの独立は守ったが、大審院長が担当裁判官に働きかけた点で裁判官の職権の独立の観点からは問題があるとされる |
| 浦和事件(1949 年) | 参議院法務委員会が確定判決の量刑を不当と決議 → 最高裁が国政調査権の限界を超えると抗議(zh-07) |
| 平賀書簡事件(1969 年) | 長沼ナイキ基地訴訟の担当裁判長に、地裁所長が判断の方向を示唆する書簡を送った。裁判所内部からの干渉として問題になり、所長は注意処分を受けた |
| 寺西判事補事件 最大決平成 10 年(1998 年)12 月 1 日 | 裁判官が組織的犯罪対策法案に反対する集会で発言し、裁判所法の「積極的に政治運動をすること」の禁止に触れるとして戒告。最高裁は、裁判官の独立・中立性への国民の信頼を守るための禁止は合憲とした |
ここまでできれば十分
裁判官の身分保障
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 78 条前段 | 裁判官は、心身の故障のために職務を執ることができないと裁判で決定された場合と、公の弾劾による場合のほかは罷免されない(最高裁裁判官はこれに加えて国民審査) |
| 78 条後段 | 裁判官の懲戒処分は行政機関が行うことはできない(懲戒は裁判所が行う。国会にもできない) |
| 79 条 6 項・80 条 2 項 | 裁判官は定期に相当額の報酬を受け、在任中、減額されない(国会議員の歳費には減額禁止の規定がない点と対比) |
| 64 条 | 弾劾裁判所は両議院の議員で組織する。訴追は裁判官訴追委員会(両議院の議員で構成)が行う。罷免事由は職務上の義務の著しい違反・甚だしい職務怠慢、裁判官の威信を著しく失う非行(裁判官弾劾法) |
弾劾裁判所の設置は国会の権能ですが、弾劾裁判所は国会から独立して裁判を行い、その判断は国会の議決を要しません。また裁判官の懲戒(戒告・過料)は分限裁判として裁判所が行います。
5. 裁判の公開(82 条)
まずここだけ
82 条 1 項:裁判の対審(当事者が裁判官の前で主張を戦わせる審理)と判決は、公開法廷で行う。 82 条 2 項:裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあると決したときは、対審は非公開にできる。ただし、政治犯罪・出版に関する犯罪・第 3 章の国民の権利が問題となっている事件の対審は常に公開しなければならない。
つまり、判決はどんな場合も公開で、非公開にできるのは対審だけ、しかも例外の例外があります。
ここまでできれば十分
82 条の「裁判」とは、純然たる訴訟事件(当事者間の権利義務の存否を終局的に確定する裁判)を指し、家事審判のような非訟事件(裁判所が後見的に法律関係を形成する手続)は 82 条の公開の対象外とするのが判例です(最大決昭和 35 年(1960 年)7 月 6 日、最大決昭和 40 年(1965 年)6 月 30 日)。ただし、純然たる訴訟事件を非訟手続で非公開に処理すれば 82 条・32 条に反します。
法廷での傍聴人のメモは、レペタ事件(zh-04)で「尊重に値する」とされました。刑事訴訟法のビデオリンク方式や遮へい措置は、裁判の公開に反しないとされています(最判平成 17 年(2005 年)4 月 14 日)。
6. 違憲審査制(81 条)
まずここだけ
81 条「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」。
- 付随的審査制:具体的な事件の解決に必要な範囲で憲法判断を行う(アメリカ型)。警察予備隊違憲訴訟がこれを確認。ドイツのように具体的事件と無関係に法令の合憲性を審査する抽象的審査制ではない
- 下級裁判所にも違憲審査権がある:81 条は最高裁が「終審」であることを定めたもので、下級裁判所の違憲審査権を否定するものではない(最大判昭和 25 年(1950 年)2 月 1 日)
- 審査の対象:法律・命令・規則・処分。条約は明記されていないが、砂川事件は「一見きわめて明白に違憲無効でない限り審査しない」としており、条約も審査の対象になりうることを前提としている(多数説も肯定)。立法不作為も国家賠償訴訟の形で審査されうる
ここまでできれば十分
立法不作為:在宅投票制度廃止事件(最判昭和 60 年(1985 年)11 月 21 日)は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行うような、容易に想定し難い例外的な場合でない限り、立法行為は国家賠償法上違法とならないとしました。その後在外邦人選挙権訴訟(最大判平成 17 年(2005 年)9 月 14 日)は、在外国民に選挙区選挙の投票を認めていなかった公職選挙法を違憲とし、国会が正当な理由なく長期にわたって立法を怠ったとして国家賠償請求も認めました。
違憲判決の効力:法律が違憲とされた場合、その法律は当該事件に限って適用されない(個別的効力説・通説)のか、一般的に無効になる(一般的効力説)のか。付随的審査制のもとでは個別的効力説が通説で、法律を廃止するのは国会の仕事です。ただし、実際には違憲判決が出れば国会が法改正し、行政も適用を控えるので、事実上は一般的な効力に近い結果になります。
憲法判断の方法:法律の規定そのものを違憲とする法令違憲と、規定自体は合憲だがその事件への適用が違憲だとする適用違憲があります。また裁判所は、他の理由で事件を解決できるときは憲法判断を避ける憲法判断回避の準則をとることがあります(恵庭事件 札幌地判昭和 42 年(1967 年)3 月 29 日)。
もう一歩(発展)── 最高裁の主な法令違憲判決
| 年 | 判例 | 違憲とされた規定 |
|---|---|---|
| 昭和 48 年(1973 年) | 尊属殺重罰規定事件 | 刑法 200 条(14 条違反) |
| 昭和 50 年(1975 年) | 薬事法距離制限事件 | 薬事法の適正配置規制(22 条違反) |
| 昭和 51 年(1976 年)・60 年(1985 年) | 衆議院議員定数不均衡事件 | 公職選挙法の定数配分(14 条違反。ただし事情判決の法理で選挙は有効) |
| 昭和 62 年(1987 年) | 森林法共有林事件 | 森林法 186 条(29 条違反) |
| 平成 14 年(2002 年) | 郵便法免責規定事件 | 郵便法の損害賠償免責・制限規定(17 条違反) |
| 平成 17 年(2005 年) | 在外邦人選挙権訴訟 | 公職選挙法の在外選挙の制限(15 条・43 条・44 条違反) |
| 平成 20 年(2008 年) | 国籍法違憲判決 | 国籍法 3 条 1 項の準正要件(14 条違反) |
| 平成 25 年(2013 年) | 非嫡出子相続分規定事件 | 民法 900 条 4 号ただし書(14 条違反) |
| 平成 27 年(2015 年) | 再婚禁止期間事件 | 民法 733 条 1 項の 100 日を超える部分(14 条・24 条違反) |
| 令和 4 年(2022 年) | 在外国民審査権訴訟 | 国民審査法が在外国民の審査権を認めていないこと(79 条違反) |
| 令和 5 年(2023 年) | 性同一性障害特例法事件 | 性別変更の要件のうち生殖腺除去要件(13 条違反) |
| 令和 6 年(2024 年) | 旧優生保護法事件 | 旧優生保護法の強制不妊規定(13 条・14 条違反。除斥期間の適用も制限) |
このほか、愛媛玉串料訴訟・空知太神社事件・孔子廟事件のように、法律ではなく地方公共団体の処分・行為を違憲とした判決(zh-03)や、第三者所有物没収事件のように手続を違憲とした判決(zh-05)もあります。
7. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 裁判所は具体的事件がなくても法令の合憲性を審査できる | できない。付随的審査制(警察予備隊違憲訴訟) |
| 板まんだら事件は金銭請求なので法律上の争訟にあたる | 前提として宗教上の教義の判断が必要なので、法律上の争訟にあたらない |
| 地方議会議員の出席停止処分は司法審査の対象にならない | 令和 2 年の判例変更により対象になる。除名は以前から対象 |
| 大学の単位認定も専攻科修了認定も司法審査の対象外 | 単位認定は対象外、専攻科修了認定は対象(富山大学事件) |
| 政党の除名処分は裁判所が実体的に当否を審査する | 手続が公正かどうかの審査にとどまる(共産党袴田事件) |
| 最高裁判所の裁判官は国会が任命する | 長官は内閣の指名で天皇が任命、その他は内閣が任命 |
| 下級裁判所の裁判官は内閣が自由に任命する | 最高裁の指名した名簿によって内閣が任命。任期 10 年・再任可 |
| 家庭裁判所は特別裁判所である | 通常裁判所の系列に属し、特別裁判所ではない |
| 国民審査は最高裁裁判官の任命を確定させる手続 | 解職(リコール)の制度 |
| 裁判官の懲戒は国会または内閣が行う | 行政機関は懲戒できない(78 条)。懲戒は裁判所の分限裁判 |
| 判決も裁判官の全員一致で非公開にできる | 非公開にできるのは対審だけ。判決は常に公開 |
| 下級裁判所には違憲審査権がない | ある。81 条は最高裁が終審であることを定めたにすぎない |
| 違憲判決により法律は一般的に効力を失う | 個別的効力説が通説。廃止は国会の仕事 |
| 在宅投票制度廃止事件で国家賠償が認められた | 認められなかった。認められたのは在外邦人選挙権訴訟(平成 17 年) |
8. 解き方の型
- 「裁判所が審査できるか」と問われたら、まず法律上の争訟の 2 要件(具体的な権利義務か・法令で解決できるか)を確認し、次に司法権の限界(自律権・統治行為・部分社会)にあたらないかを見る
- 部分社会の判例は「内部にとどまるか・一般市民法秩序に出るか」で線を引く。出席停止は令和 2 年に「出る」側に移った
- 裁判官の数字は「15 人・任期 10 年・定年 70/65・国民審査 10 年ごと」。任命の主語は「長官=天皇(内閣指名)/その他=内閣/下級裁=内閣(最高裁名簿)」
- 82 条は「判決は常に公開・対審は全員一致で非公開可・政治犯罪等は常に公開」の 3 段
- 違憲審査は「付随的・下級裁も可・条約も対象になりうる・個別的効力」の 4 語。法令違憲判決の年表は、憲法の他の単元で出てきた判例と結びつけて覚える
9. 小テストへ
→ 小テスト(zh-09)
関連する単元
- 前提:zh-07 国会(弾劾裁判所・国政調査権と司法権の独立・議院の自律権)、zh-08 内閣(統治行為論・裁判官の任命)、kk-03 国会・内閣・裁判所と地方自治(高校公共)、c-03 国会・内閣・裁判所(中学公民)
- 次に進む:zh-10 財政・地方自治・憲法改正、zg-09 行政事件訴訟法(客観訴訟・法律上の争訟)
- 同じ考え方を使う:zh-02 包括的基本権と法の下の平等(法令違憲判決の多くが 14 条)、zh-05 経済的自由と人身の自由(薬事法・森林法・第三者所有物没収)、zh-06 社会権・参政権・国務請求権(在外選挙権・定数不均衡・裁判を受ける権利)、zk-02 統治機構(国会・内閣・裁判所・地方自治)と選挙
参考資料
- 日本国憲法(e-Gov 法令検索)── 6 条・64 条・76 条〜82 条
- 裁判所法・裁判官弾劾法・最高裁判所裁判官国民審査法(e-Gov 法令検索)
- 最高裁判所「裁判例検索」── 警察予備隊違憲訴訟・板まんだら事件・富山大学事件・共産党袴田事件・岩沼市議会事件(最大判令和 2 年 11 月 25 日)・在外邦人選挙権訴訟・在外国民審査権訴訟ほか
- 裁判所ウェブサイト「裁判所の組織」「最高裁判所の裁判官」(2026 年 9 月時点)
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 専門試験の出題分野(憲法)
- 芦部信喜『憲法』(岩波書店)、長谷部恭男編『憲法判例百選』(有斐閣)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/horitsu/zh-09/ / 更新 2026-09-14