地方上級 / 数学 / zn-01
関数と図形(二次関数・三角比・図形と方程式)
この単元でできるようになること
- 二次関数を平方完成して頂点を出し、定義域つきの最大・最小を「軸の位置」で判断できる
- 判別式 D の符号で、二次方程式の解の個数と二次不等式の解を決められる
- 三角比の定義と相互関係(sin² θ + cos² θ = 1)から、1 つの値を手がかりに残りの値を出せる
- 余弦定理・正弦定理・面積公式 ½bc sin A を使い分けられる
- 2 点間の距離・直線の方程式・円の方程式(中心と半径)を式から読み取れる
試験での位置づけ
公務員試験の自然科学「数学」は、地方上級では 1 問程度、出題される場合でも高校 1 年(数学Ⅰ・A)の範囲が中心です。中でも二次関数(頂点・最大最小・判別式)がよく問われ、次いで三角比と図形と方程式(直線・円)です。国家一般職の基礎能力試験では数学の単独出題はほぼなく、数的推理の中で「二次関数の最大値」「三平方の定理」といった形で顔を出します。
計算問題は数値がきれいに設定されているので、公式を 1 本正しく選び、符号を間違えずに代入することが得点のほぼすべてです。この単元では、各テーマについて「試験で使う公式は何か」と「どこで符号を間違えやすいか」に絞って整理します。深く学びたい場合は高校数学の h1-06〜h1-12・h2-04・h2-05 に進んでください。
1. 二次関数 ── 平方完成で頂点を出す
まずここだけ
二次関数 y = ax² + bx + c の問題は、ほとんどが頂点の座標を出せば解けます。頂点を出す方法は平方完成です。
y = x² − 6x + 5 = (x − 3)² − 9 + 5 ← x の係数 −6 の半分 −3 を使って (x − 3)²。引きすぎた 9 を戻す = (x − 3)² − 4 よって頂点 (3, −4)、軸は x = 3
覚えておく形は次の 1 つです。
y = a(x − p)² + q ⇔ 頂点 (p, q)、軸 x = p
a > 0 なら下に凸(頂点が最小)、a < 0 なら上に凸(頂点が最大)です。頂点の x 座標は −b/(2a) でも出せますが、平方完成の方が符号ミスに気づきやすいので、慣れるまでは平方完成をおすすめします。
ここまでできれば十分
定義域がある最大・最小は、「軸が定義域の中にあるか、外にあるか」で決まります。
y = (x − 2)² − 3 (1 ≦ x ≦ 5) 軸 x = 2 は定義域の中 → 最小値は頂点の −3(x = 2) 最大値は軸から遠い端 x = 5 → (5 − 2)² − 3 = 6
y = (x − 2)² − 3 (3 ≦ x ≦ 6) 軸 x = 2 は定義域の左の外 → 定義域内ではずっと増加 最小値は軸に近い端 x = 3 → (3 − 2)² − 3 = −2、最大値は x = 6 → 13
まとめると、下に凸のとき最小は「軸に近い方」、最大は「軸から遠い方」です(上に凸なら逆)。
平行移動は「x 軸方向に p、y 軸方向に q」で y = (x − p)² + q。x の方だけ符号が逆になるのが引っかけどころです。
もう一歩(発展)
軸に文字が入る問題(y = x² − 2ax + 1 の 0 ≦ x ≦ 2 での最小値など)は、「軸 x = a が定義域の左・中・右のどこにあるか」で 3 通りに場合分けします。公務員試験では場合分けが 1 段で済む問題が多いので、まず軸の位置を図に描く癖をつけておけば十分です。詳しくは h1-07 で扱っています。
2. 二次方程式・判別式・二次不等式
まずここだけ
二次方程式 ax² + bx + c = 0 の実数解の個数は、判別式 D = b² − 4ac の符号で決まります。
| D の符号 | 実数解の個数 | グラフと x 軸 |
|---|---|---|
| D > 0 | 異なる 2 つ | 2 点で交わる |
| D = 0 | 1 つ(重解) | 接する |
| D < 0 | なし | 離れている |
x² − 6x + k = 0 が異なる 2 つの実数解をもつ k の範囲 D = 36 − 4k > 0 → k < 9(k = 9 のときは重解なので入れない)
ここまでできれば十分
二次不等式は、因数分解して x 軸との交点を出し、グラフの上下で答えます(a > 0 のとき)。
x² − 5x + 6 < 0 → (x − 2)(x − 3) < 0 → 2 < x < 3(交点の間) x² − 5x + 6 > 0 → x < 2、3 < x(交点の外側)
「< 0 なら間、> 0 なら外側」を丸暗記するより、下に凸の放物線を 1 本描いて「x 軸より下はどこか」を見る方が確実です。
解と係数の関係(2 解 α、β について α + β = −b/a、αβ = c/a)は、「2 つの解の和が 4、積が 3 になる方程式は?」といった形で出ます。x² − 4x + 3 = 0 のように、和の符号が逆になる点だけ注意してください。
3. 三角比 ── 直角三角形に戻る
まずここだけ
三角比の定義は直角三角形で、sin = 対辺/斜辺、cos = 隣辺/斜辺、tan = 対辺/隣辺です。試験でよく使う値は次の表だけです。
| θ | 30° | 45° | 60° |
|---|---|---|---|
| sin θ | 1/2 | √2/2 | √3/2 |
| cos θ | √3/2 | √2/2 | 1/2 |
| tan θ | 1/√3 | 1 | √3 |
覚え方は、三角定規の辺の比 1 : 2 : √3(30°・60°・90°)と 1 : 1 : √2(45°・45°・90°)です。値を忘れたら定規の三角形を描いて読み取ります。
ここまでできれば十分
相互関係:sin² θ + cos² θ = 1、tan θ = sin θ / cos θ。1 つ分かれば残りが出せます。
sin θ = 3/5(0° < θ < 90°)→ 斜辺 5・対辺 3 の直角三角形 → 隣辺 4 → cos θ = 4/5、tan θ = 3/4
直角三角形を描けば、三平方の定理で隣辺 √(5² − 3²) = 4 が出るので、公式を使うより早いことが多いです。
鈍角(90° < θ < 180°)では sin は正のまま、cos と tan は負になります。sin 150° = sin 30° = 1/2、cos 120° = −cos 60° = −1/2 です。
三角形の計量で使う公式は 3 本です。
余弦定理:a² = b² + c² − 2bc cos A ← 2 辺とはさむ角から残りの辺 正弦定理:a/sin A = b/sin B = c/sin C = 2R(R は外接円の半径) ← 辺と向かい合う角 面積:S = ½ bc sin A ← 2 辺とはさむ角
b = 3、c = 8、A = 60° のとき a a² = 9 + 64 − 2 × 3 × 8 × 1/2 = 73 − 24 = 49 → a = 7 面積 S = ½ × 3 × 8 × sin 60° = 12 × √3/2 = 6√3
A = 120° なら cos A = −1/2 なので、「− 2bc cos A」の部分が足し算に変わります(a² = 73 + 24 = 97)。ここが余弦定理でいちばん多い符号ミスです。
4. 図形と方程式 ── 距離・直線・円
まずここだけ
2 点間の距離は三平方の定理そのものです。
A(1, 2)、B(4, 6) → AB = √((4 − 1)² + (6 − 2)²) = √(9 + 16) = 5
直線の方程式は「傾き m、通る点 (x₁, y₁)」から y − y₁ = m(x − x₁)。平行なら傾きが同じ、垂直なら傾きの積が −1 です。
傾き 2 で点 (3, 1) を通る → y − 1 = 2(x − 3) → y = 2x − 5
ここまでできれば十分
円の方程式は (x − a)² + (y − b)² = r²(中心 (a, b)、半径 r)。展開された形で出されたら、x と y をそれぞれ平方完成して戻します。
x² + y² − 4x + 6y − 3 = 0 (x − 2)² − 4 + (y + 3)² − 9 − 3 = 0 → (x − 2)² + (y + 3)² = 16 中心 (2, −3)、半径 4(16 ではない)
点と直線の距離 d = |ax₀ + by₀ + c| / √(a² + b²) は、円と直線の位置関係(d と r の大小で「交わる・接する・離れる」)を判定するときに使います。中心から直線までの距離を出して半径とくらべる、という流れだけ覚えておけば十分です。
もう一歩(発展)
内分点 ((n x₁ + m x₂)/(m + n), (n y₁ + m y₂)/(m + n))、中点 ((x₁ + x₂)/2, (y₁ + y₂)/2)、重心(3 頂点の座標の平均)は、数的推理の図形問題でも使います。h2-04 で練習できます。
5. よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| y = (x + 3)² − 1 の頂点を (3, −1) とする | 頂点は (−3, −1)。x の方は符号が逆 |
| 定義域があっても頂点の値を最小値とする | 軸が定義域の外なら、端の値が最小 |
| 「異なる 2 つの実数解」で D ≧ 0 とする | D > 0。等号は重解(1 つ)の場合 |
| x² − 5x + 6 > 0 の解を 2 < x < 3 とする | > 0 は外側:x < 2、3 < x |
| A = 120° の余弦定理で −2bc × 1/2 とする | cos 120° = −1/2 なので +bc になる |
| 円 (x − 2)² + (y + 3)² = 16 の半径を 16 とする | 半径は √16 = 4 |
| 正弦定理を a/sin A = R とする | = 2R(外接円の直径) |
6. 解き方の型
- 二次関数を見たら、まず平方完成して頂点と軸を書く
- 定義域があれば、軸が「中・左・右」のどこかを図で確かめてから端の値を計算する
- 解の個数・不等式は判別式か因数分解 → グラフの上下で答える
- 三角比は直角三角形を描く。三角形の計量は「2 辺とはさむ角 → 余弦定理・面積公式」「辺と向かい合う角 → 正弦定理」
- 円は平方完成で中心と半径に戻し、直線との関係は「中心から直線までの距離 vs 半径」
7. 小テストへ
→ 小テスト(zn-01)
関連する単元
- 前提:m3-06 二次方程式・m3-08 関数 y=ax²・m3-16 三平方の定理(中学数学)
- 詳しく学ぶ(高校数学):h1-06 二次関数のグラフ、h1-07 最大・最小、h1-08 判別式・解と係数、h1-09 二次不等式、h1-10 三角比、h1-11 正弦定理・余弦定理、h1-12 図形の計量、h2-04 点と直線、h2-05 円の方程式
- 同じ考え方を使う:zs-19 平面図形の計量、zs-12 方程式と不等式の文章題
参考資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 数学編」── 数学Ⅰ「二次関数」「図形と計量」、数学Ⅱ「図形と方程式」の範囲
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」── 基礎能力試験の出題分野
- 各都道府県・政令指定都市の職員採用試験受験案内(教養試験の出題分野「自然科学」)
受験のしらべ / https://juken-shirabe.com/koumuin/shizen/zn-01/ / 更新 2026-09-14