勉強法
高 1・高 2 のうちに ── 定期テストを受験の土台にする
一言で
高 1・高 2 の受験勉強は、定期テストの勉強とは別に始めるものではありません。定期テストの勉強を「捨てない形」にすることが、そのまま受験の土台になります。 やることは 2 つです。テストのあとにも日をあけて戻ること(間隔反復)と、読み返す代わりに思い出す練習をすること(テスト効果)です。 このページは、各勉強法の記事を高 1・高 2 の生活に並べ直した案内です。研究で確かめていない段取りには【推論】か「目安」と書きます。
今日からやること
- 次の定期テストの範囲が出たら、前回のテスト勉強に実際にかかった日数を横に書く。足りない分は、部活の休養日から先に埋めます(勉強の計画と部活の両立)
- 返ってきたテストのまちがいを、3 行だけノートに書く。解き直す日を「1 週間後」と「1 か月後」の 2 つ、カレンダーに書きます(間違いノート)
- 英単語帳を 1 冊決め、「同じ範囲に 3 回戻る日」を先に決める。たとえば 1 日目・4 日目・2 週間後です(単語帳の使い方)
なぜ高 1・高 2 の定期テストが受験につながるのか
成績そのものが入試の資料になる
総合型選抜と学校推薦型選抜では、高 1 からの成績と活動が調査書に載ります。高 3 だけで取り返すことはできません(大学入試の日程)。 学校推薦型では、高校の成績は 3 年 1 学期までが使われることが多い、とされています。高 1・高 2 の定期テストは、その大部分を占めます。
共通テストの範囲の大半を、高 1・高 2 で習う
共通テストは 6 教科(国語・地理歴史公民・数学・理科・外国語・情報)です。科目の内容は、高 1・高 2 で履修するものが大半です(共通テストの科目・時間割・配点)。 たとえば『情報Ⅰ』は、高 1 で履修した内容が 3 年後に出ます。定期テストのあとに捨てた範囲は、高 3 でもう一度ゼロから覚えることになりやすいと考えられます【推論】。
一夜漬けは、翌日のテストには間に合う
前日に詰め込んだ内容は、翌日のテストには残ることがあります。ただ「それ以上は期待しない」と、大学受験の勉強法 ではまとめています。 高校生 535 人の日誌調査もあります(#192・睡眠と一夜漬け)。いつもより睡眠を削って勉強した翌日は、授業の理解とテストでつまずきが増えていました。
定期テストの 1 サイクルを「受験まで残る形」にする
定期テスト 1 回分の流れに、勉強法を当てはめると次のようになります。日数は研究で決めた値ではなく、目安です。
| いつ | やること | 使う勉強法 |
|---|---|---|
| 範囲が出た日 | 範囲を書き出し、前回かかった日数を横に書く | 計画 |
| 2 週間前〜 | 1 日 1 教科を詰めず、毎日少しずつ全教科。範囲の全単元から 1〜2 問ずつ混ぜて解く | 間隔反復・交互練習 |
| 1 週間前〜 | ノートの読み返しをやめ、答えを隠して問題集や小テストを解く | テスト効果 |
| 前日 | 新しい範囲に手を出さない。その日の範囲を閉じて思い出す 30 分で切り上げ、いつもの時刻に寝る | 睡眠と一夜漬け |
| 返却の日 | まちがいを分けて、3 行だけノートに書く | 間違いノート・模試の結果の使い方 |
| 1 週間後・1 か月後 | まちがえた問題を、答えを隠して解き直す | 間隔反復 |
| 次の定期テストの前 | 前回の範囲から数問を混ぜて解く | 交互練習【推論】 |
「1 週間後・1 か月後」に戻る理由
テストのあとに日をあけて戻ると、長く残ります。アメリカの中 2 の歴史では、16 週間あけた復習テストが 9 か月後にもっともよい結果でした(#24)。 アメリカの中 2 理科の教室では、小テストに出した内容は単元末テストで 13〜25% 高い結果でした(#18)。差は学期末・年度末まで残りました。 定期テストを「受けて終わり」にせず、返却後の解き直しまでを 1 サイクルにするのは、この 2 つからの【推論】です。
予習と授業
- 予習のしかた:教科書を読む代わりに、見出しから問いを 3 つ作って答えてみます。英語の予習で本文を写して和訳するだけの時間を、短くできます
- 解答例から学ぶ:数学の新しい型は、例題を読んですぐ類題を解きます。1 問に 30 分悩み続けるより先に進めます
- 映像授業の見方:塾や予備校の映像は、10〜15 分ごとに止めて要点を書きます
このサイトでは
- 授業で進んだ単元は、その日のうちに小テストを 1 回解きます。たとえば 二次関数のグラフ・時制・物質の構成 です
- まちがえた型は端末内に記録されます。1 週間後に開くと「前に間違えた型をやり直す」が出るので、戻る日はここから始めます
- 定期テストの 2 週間前は、教科のまぜこぜテストを使います。高校数学・高校英語・理科基礎・社会・国語 です。範囲外の単元が出たら飛ばします
部活と両立する
高 1・高 2 は、部活がいちばん忙しい時期という人も多いはずです。受験勉強のために部活をやめる、という話ではありません。
- 勉強の計画と部活の両立:「部活から帰って着替えたら、英単語 15 分」のように、if–then の形で決めます。94 の検証をまとめた分析で、目標の達成に d = 0.65 の差がありました(#34)
- 運動と勉強:体を動かす時間を増やした実験のまとめ(4〜13 歳が対象)があります。運動で勉強が下がった、という結果は目立ちませんでした。部活をやめた時間が、そのまま点になるとは限りません
- 睡眠と一夜漬け:部活と塾で寝る時刻が遅くなる人ほど、起きる時刻から 8 時間を引いて寝る時刻を先に決めます
- スマホと勉強:勉強する時間帯は、スマホを別の部屋に置き、通知を切ります
- 先延ばし:課題の提出がギリギリになる人は、「最初の 5 分でやること」まで小さくします
部活でくたくたの日は、新しい範囲に進まず、その日の授業の小テストを 1 回解いて寝ます。大会前の週は、定期テスト 2 週間前の計画に「部活の日」を先に書き入れます【推論】。
模試の使い方(高 1・高 2)
- 判定より、まちがえた問題を見る。返却の日に、まちがいを 4 つに分けます。「知らなかった」「時間が足りなかった」「解けたのに落とした」「読みちがえた」です(模試の結果の使い方)
- まだ習っていない範囲は飛ばす。学校の進度より先の問題は、直しの対象から外します。習ったのに解けなかった問題を優先します【推論】
- 高 2 の 1 月に、共通テストの「同日模試」を受ける。受験の 1 年前の立ち位置が分かります(大学入試の日程)
結果の伝え方の研究をまとめた分析では、平均はプラスでも 3 分の 1 以上で成績が下がっていました(#447)。点数や判定だけを見て落ちこむより、「どこで落としたか」と「次のやり方」を書くほうに時間を使います。
英単語の始め方
いつから
高 1 の 4 月から、学校で配られる単語帳か、受験用の単語帳を 1 冊決めて始めます。「何語覚えればいつ間に合う」を決めた研究は、このページではまだ引けていません。始める時期は目安です。
どう回すか
- 大きな束で回す。小分けにして 1 束ずつ固めるより、大きな束で広く回すほうが残りました。参加者の 90% で同じ結果、なのに 72% は「小分けのほうが覚えた」と感じていました(#33・単語帳の使い方)
- 両方向でテストする。日本語を隠して英語を見て意味を言い、次に英語を隠して日本語から英語を言います。眺めるだけの周は作りません
- 同じ範囲に 3 回戻る。たとえば 1 日目・4 日目・2 週間後です。戻ったときは、覚えたつもりで外した語も入れてテストします(間隔反復)
- 学校の単語テストを利用する。前日に詰め込むより、3 日前・前日の 2 回に分けて言えるかを確かめます。テストのあとも、2 週間後にもう一度その範囲に戻ります【推論】
単語帳と組み合わせるもの
- 語源で英単語を覚える:知っている部品(接頭辞・接尾辞)を 5 秒だけ探します。部品から予想したら、その場で訳と答え合わせをします
- 音読:教科書の本文を、意味を確かめてから 3〜5 回声に出します。単語帳で覚えた語に、文の中でもう一度出会えます
- リスニングの練習:通学電車で聞くのは「意味の分かる英文」だけにします
- 古文単語と古典文法の覚え方:古文単語も同じ回し方です。現代語と形が同じで意味がちがう語から始めます
このサイトでは
このサイトに英単語帳の機能はありません。語彙の単元の小テストは、思い出す練習として使えます。高校英語なら 句動詞・熟語・慣用表現・語形変化と派生語・紛らわしい語 の 4 単元です。
高 2 の冬 ── 受験まで 1 年になったら
- 共通テストの過去問を 1 年分、時間を計って解く。高 2 の終わり〜高 3 の春に、形式と時間配分を知るためです(過去問の使い方)
- 受ける方式を考え始める。総合型を受けるかは、高 3 の 6 月までに決めるのが目安とされています。高 2 のうちに活動の記録(いつ・何を・何が分かったか)を残すと、書類の材料になります【推論】(大学入試の日程・大学入試のしくみ)
- 科目を絞りすぎない。国公立大学の多くは、共通テストで多くの教科を課します。高 1・高 2 で「捨てる科目」を作ると、選べる大学が減ります(共通テストの科目・時間割・配点)
- 高 3 の 1 年の流れを先に見ておく。高 3 の 1 年 に、時期ごとの使い分けをまとめています
よくある誤解
「受験勉強は高 3 から始めるもの」 総合型・推薦では高 1 からの成績が調査書に載ります。共通テストの範囲も、高 1・高 2 の内容が大半です。定期テストの勉強を捨てない形にすることが、高 1・高 2 の受験勉強です【推論】。
「定期テストは、一夜漬けで点が取れれば十分」 一夜漬けでも、翌日のテストの点は取れることがあります。ただ、日をあけて戻らない範囲は、受験のときにもう一度覚え直すことになりやすいと考えられます【推論】。
「部活をやめれば、そのぶん勉強できて伸びる」 運動を増やした実験のまとめ(4〜13 歳が対象)では、運動で勉強が下がった、という結果は目立ちませんでした。やめた時間が、そのまま点になるとは限りません(運動と勉強)。
「模試の判定が悪いのは、もう手遅れということ」 高 1・高 2 の模試は、まだ習っていない範囲も出ます。判定より、習った範囲でどこを落としたかを見ます(模試の結果の使い方)。
注意点
- このページの段取りは、研究で比べたものではありません。もとにした研究の多くは、欧米の学生や教室が対象です。日本の高 1・高 2 の定期テストで直接確かめた研究は、このページではまだ引けていません
- 調査書でどの学年の成績を使うか、推薦の校内選考の時期は、大学と高校で違います。募集要項と学校の案内で確かめてください
- 入試の制度は年度ごとに見直されます。日程や制度の値は令和 9 年度(2027 年春入学)のものです。最新は文部科学省と大学入試センターの発表で確かめてください
- 研究の数字(#番号)は、リンク先の記事で引いた論文のものです。くわしい対象と限界は、それぞれの記事にあります
日程と制度の出典
- 大学入試の日程:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」第 4、大学入試センター「令和9年度 共通テスト実施要項」(どちらも 2026-09-12 確認)。「高 1・高 2 の人へ」の節
- 共通テストの科目・時間割・配点:大学入試センター「令和9年度 共通テスト実施要項」(2026-09-12 取得)。「高校 1・2 年生が今知っておくとよいこと」の節
- 大学入試のしくみ:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026-09-12 確認)
このページでは新しい論文を引いていません。#番号は docs/参考文献ログ.md などの番号で、リンク先の記事が DOI を確認して引いたものです。
この 1 年で使う勉強法
| 記事 | いつ | なぜ |
|---|---|---|
| 間隔反復 | 定期テストのあと(1 週間後・1 か月後) | テストのあとに戻ると、受験まで残る形になる(#24) |
| テスト効果(思い出す練習) | 定期テスト 1 週間前〜 | 読み返すより、閉じて思い出すほうが残る(#18) |
| 交互練習(混ぜて解く) | 定期テスト 2 週間前〜 | 範囲の単元を混ぜると、型を見分ける練習になる |
| 間違いノート | 定期テスト・模試の返却の日 | まちがえた問題を、日をあけて解き直す |
| 勉強の計画と部活の両立 | 1 年中。とくに範囲が出た日 | 部活の日でも、短い時間を確保する(#34) |
| 単語帳の使い方 | 高 1 の 4 月〜 | 大きな束で回し、同じ範囲に 3 回戻る(#33) |
| 予習のしかた・解答例から学ぶ | 授業の前後 | 新しい型を、短い時間で固める |
| 睡眠と一夜漬け | 定期テストの前日・部活が続く時期 | 削った睡眠は、覚えた分を持っていく(#192) |
| 運動と勉強 | 部活を続けるか迷ったとき | 部活をやめた時間が、そのまま点になるとは限らない |
| 模試の結果の使い方 | 模試が返ってきた週。高 2 の 1 月の同日模試 | 判定より、どこで落としたかを見る(#447) |
| 過去問の使い方 | 高 2 の終わり〜高 3 の春に 1 年分 | 本番の形を知ってから、勉強のしかたを合わせる |